2012.03.07:水曜日
展覧会 SCIENCE &PRAYING –科学と祈り– に寄せて

 

 

人々が地球上に生息すると決めた時、或いは生身の状態で地上に放り出された時から、脆弱な自らの身体を守るために、私たち人類は様々な工夫をしながら生存を続けなければならなかったのだと思います。

その最初の様々な工夫こそが、科学と名付けられるものであったのではないでしょうか。ハンティングやフィッシングから、植物を育て上げ収穫する知識を得、道具を作り、生活の質を次々と進化させて行く技術が生まれていきました。

道具や複雑な知識等がなかった時代、身をまもるための整備が整わず、未熟だった地上のわたしたちには、自分以外の自然の一切のものが神秘であったのではないでしょうか?理由は我々の蒙昧にあったとしても、自然に対する畏敬の気持ちは、現在の我々よりも数段大きなものであったと思います。

私たちの生存が、まだ自ら創りだした科学や思想、社会通念等といった、立派なものからコントロールを受けなかった時代には、世界は今とは全く異なる様相であったことでしょう。

科学によって形をとらない季節の私たちの心情は、敬虔な祈りに満ちたものであったかも知れません。ある時には、またある人にとっては、邪気を孕んだ無知蒙昧な世界観にとらわれていたかも知れません。

展覧会SCIENCE &PRAYING –科学と祈り–の開催を計画した時には、物理学の研究者である伊丹裕氏のプロデュースの元、思いつくままに企画を立てさせて頂きましたが、思いがけず、何だか神聖と言ったら大げさかも知れませんが、心地の良い、目に見えない何かを感じていただける展覧会になった様に思われます。

物理学研究を続けられる伊丹さんに伺うと、物理学を追求して行くと、科学的に徹底的に目に見える世界から不可測の世界へと向かう様なのです。

ほとんど無意識下で行われたこれらの展覧会の企画ですが、皆様にとても楽しんでいただき、そしてまた、立ち止まって思いを巡らせていただく事が出来た展覧会だったと思います。

中でもツイッターで知り合った長井一馬さんの作品を案内状に使わせて頂いたこと、とてもインパクトが強く、大好評でした。以前から長井さんの作品には注目しておりましたが、ガスマスクをしたネコの作品は、一目で気に入ってしまいました。メッセージ性は確かにあると思いますが、それ以前に、直感にガツンと来たのです。彼の作品に、伊丹氏がエネルギーラインをコラボした作品が今回の案内状でした。

長井さんの作品は、とても人気者でした。可愛らしさと妖気を孕んだ銀の装身具は、人の心を掴みます。

長井さんだけでなく、出品者の方々は、皆さん何か目には見えないけれど、強力に放つ何ものかを作品の中に隠し持っておられる方ばかりでした。

また、かたちを変えて、このような展覧会が開けるとよいと思っております。

 

http://old.spaceyui.com/exhibition/science-praying.html

 

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