高橋春夫さんの器を使っていますと、何故か自然に良い気分になります。白磁と粉引きの白い器を当画廊で取り扱うのは、昨年の高橋さんの展覧会が初めてでした。
白磁は、器の芯から白い色の磁器でできていて、硬質な美しさが魅力です。
専門家ではないので他の方々の作品を多くは知りませんが、高橋さんの白磁の器は粉引きと近い感覚なのではないかと想像いたします。
粉引きは、土を用いて成形した器に白磁を粉砕し水に溶いた液体をくぐらせて作るものですので、白磁に比べて柔らかな感覚で、その風合いに安らぎを覚えます。
一方、白磁は粉引きの様なニュアンスはなく、美しいその肌合いはとてもクールに見えますが、使った印象では全然冷たさは感じられず、綺麗なフォルムと表面素材から感じるのはコミュニケーションできる温かな楽しい使用感ばかりなのです。
最初は食器戸棚にしまっていた小さな白磁の皿を使い始めたら、不意を突かれた様な愛着が湧いて参りました。
繰り返し作られ、繰り返し人々に使われている食器として陶磁器を、これ迄のものよりも更に納得の行く魅力あるものへと作り続けて行くのは容易な事ではないと思います。
シンプルな白一色の器に込められた高橋さんの感性の確かさをとても大切なものと感じております。
https://www.instagram.com/p/BehCKYjBc_O/?taken-by=spaceyui_aoyama
↑
絵の動く画像はこちらからご覧下さい。
中谷日出さんには十数年も前に、今では3Dプリンターも珍しくありませんが当時は斬新すぎて人々に共感して頂くのも難しかった3Dコンピューターグラフィック作品の展示、そしてナノゲノムをテーマにした作品を顕微鏡で覗くという画期的なスタイルの展覧会も開催頂きました。
実験的な作品制作の姿勢は変わらず今回の展覧会へと続いている様に感じますが、2018年の中谷日出個展「映像・美術・記号」では、大分人々との距離が近づいているのではないかと思われます。
まさにアートアンドサイエンスというテーマでの重量感のある作品展示と、先端テクノロジーにより、更に人々を驚かせ共に楽しむという感覚の展覧会の姿勢は、ずっと一貫していると感じております。
そして今回の中谷日出さんの作品から、私たちが通常何気なく見ている物や空間などを、一旦無造作な意識から、意図して認識し直す事の大切さ、そしてそれをもう一度感性の領域へとフィードバックしてからイメージをさらに膨らませていく、というメッセージを受け取りました。
知的な分析とそれらに基づく視線は、科学や学問の分野のみならず、創作表現の場に於いても当然着目すべき視点なのかも知れません。また中谷さんの明晰な視点から生み出される作品に於いては、客観性の影響やマーケティング的なものを重視したものへと傾きすぎない様、もう片方の世界へと解放されていく揺れ幅も感じます。
どちらにしましても、感性の領域を表現していくということは、見えざる本質的なものを掴みとるという姿勢なしには、語れないものと思います。
中谷日出さんが、今回提示されたテクノロジーを駆使した作品からは、その画像から受ける先進的なイメージと共にたゆたう様な光や樹々のそよぎ、美しい水の流れや人間の所作などといった、人々との共有意識を追求した温かなものが感じられました。
http://old.spaceyui.com/schedule/hide_nakaya_18.html
松本圭以子さんの展覧会タイトルが面白く、改めて作品を拝見すると、成る程!と納得させられものがあります。
Visionary ー空想家ー、聞き慣れない言葉ですが興味を誘う響きのフレイズが異世界へと誘うかのようです。
松本さんの普段の作品でも感じる事ですが、想像力豊かなイメージが一枚一枚の作品画面に定着して既視の感覚を伴った完成度の高さを感じさせられます。
今回は、パステル画やご自分で撮影された写真を用いたコラージュ作品が展示されました。また、様々なモチーフで構成したBOX ART 作品もたいへん見応えのあるものでした。
松本さんのイメージする記憶を元に再構成された場面が、二次元だけでなく三次元作品としても制作されて、観る方々の想像力を刺激し、とても楽しませて下さいました。
- Archives
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年3月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年7月
- 2012年6月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月