安曇野の工房でガラス作品の制作に励む宮本崇輝さん、鳥取の陶芸作家すえむねともひこさん、と、このギャラリーではめずらしいガラス作品と陶芸作品の展覧会が開催されました。
宮本崇輝さんは今回が最初の個展でしたが、作品の完成度も高くとても好評な展覧会でした。
宮本さんは、多摩美のガラス工芸を学んだ卒業生で運営する豊かな自然に囲まれた安曇野のガラス工房で作品の制作に励んでおられます。
宮本さんの作品は、現代に暮らす人々の日常の中に取り入れると、温かな心弾むものを与えてくれる感慨をもたらす力がありました。
プロダクト的なシンプル感覚が基底にありながら、冷たさは少しもなく、手づくり感覚の温もりも加わって、独特の魅力を醸成させている様に思います。
改めて宮本さんの作品を目の前にして彼が相当ストイックに造型を研究し、また時代の生活スタイルを鋭敏にキャッチしながら日々制作に生きている事を感じました。
27才の宮本さんの秀逸なトータルな感覚がどのように羽ばたいて行くか、とても楽しみです。
http://old.spaceyui.com/schedule/miyamoto_13.html
今は鳥取に住み、陶芸の工房を持ち、活躍中のすえむねともひこさんもユニークな素敵な個性の方です。沖縄県立大学で陶芸の勉強をなさったすえむねさんの作品は、どこか海を思わせる色彩やおおらかさが感じられます。
作品は、日常使いの食器から、幾何学モチーフを原点とする半立体レリーフ、そしてそれらの中間に位置する実用性と共に作家性のある作品等、カテゴリーが分かれていますが、全部の作品が、矛盾することなく、ひとつの空間にバランスよく提示されている事が、彼の力量を示している様に感じられました。
すえむねさんは、エッセイや小説も書かれ、また色々な生物についての知識や工学全般等、スタッフ皆なも驚く程、博学多識な生き生きとした方です。彼のビビッドな発想や創造の源流が少年の時代へと回帰し、作品へと結実している事を感じます。
http://old.spaceyui.com/schedule/suemune-13.html
くまざわのりこ
くまざわのりこさんの、天然素材の様に純粋な優しい感触は、この時代に皆さんにとても必要とされていることを感じました。今回は、くまざわさんが長く続けている一保堂の仕事を主に発表致しましたが、同時に、一保堂のお茶をお出しするカフェも試みました。独特なデザインのお茶の缶はたいへん知られており、中味の茶と共に人気がありますが、良質なお茶と、くまざわさんの強烈なまでのやわらかな優しさが、画廊空間いっぱいに充填されたかの様に、皆さんが癒されてお帰りになりました。
京都からのそよ風は、関東圏に住む人々を、眼と、香りと、味覚と、やわらかオーラとで、慰めてくれたかの様でした。
http://old.spaceyui.com/schedule/kumazawa_13.html
画廊は今、西の方角からの風に誘われて、色々なことを計画したり、考えたり、作業したり、を繰り返しています。
信頼している知人が、今年4月に韓国ソウルに「PLUG FACTORY」というアートスペースをオープンします。小さなレジデンスも付いた、大きさはYUIよりも少し広めの魅力的なスペースです。IT関連にひじょうに強い男子たちで、韓国発英語のアートブックの電子書籍の事業もいっしょに立ち上げ、起業しました。彼らはまた、名古屋にも「ENDUX」というアーティストグッズの店も3月にオープン致します。新しい船出にスペースユイも関わって、今は楽しい準備に追われています。
ソウルの「PLUG FACTORY」は、韓国大統領府の近く、ひじょうに立地の良い場所で、石畳の道沿いの素敵なスペースです。屋根や外観は韓国の伝統的なデザインで、内側は現代のモダンな空間インテリアです。まだ行っておらず、ビデオで見ただけですが、皆さんにご紹介できる日を楽しみにしています。
また、広島県福山市の重要文化財の古民家を建築家が大改装し、1階2階を合わせると160坪ある空間をアートインレジデンスやギャラリー、カフェ、ショップ等で構成する、というひとつのアート環境創りのプロジェクトにもお誘いを受けましたが、スペースが広すぎ、運営は自分のキャパを超えていると思われました。場所も直島にも近く、興味深いお話ですが、自分のできる範囲で関わる事ができたら・・・と思い、秋に完成する大角雄三氏設計のこの建造物をとても楽しみにしているところです。このプロジェクトは、画廊企画展、SCIENCE & PRAYINGでもディレクターとしてお世話になっている伊丹裕さんからのお話で、伊丹さんは東京の他、すでに岡山でも活動を開始されています。
そしてもうひとつの西からの風・・・。兵庫県に鶴林寺という丁度鶴が羽を広げた時の様な特徴ある屋根の国宝のお寺があります。こちらのお寺で、今年の10月から11月にかけての約一ヶ月間、木村かほる(筆者の妹なので敬称略)の個展が開催される事になりました。昨年も依頼がありましたが都合で開催できず、石川和男さんに替わって頂き、好評を博しました。 鶴林寺での絵画発表は、 兵庫県の信頼できるギャラリストの薮多門さんの加古川の美術プロジェクトの一環です。このお寺にも今年の秋にはぜひ行ってみたいと思っております。
2011 木村かほる
今、深谷さんの直面されていることは、私たち皆の問題と思います。深谷さん本人は、もうずっと東京にお住まいですが、緑豊かな福島県の広大な土地のご出身で、ご両親は東京に避難していらっしゃいます。ずっと住んでおられた土地を離れて狭い東京で過ごすご両親は、故郷に帰る日を夢見ていらしゃるようです。現在の日本で、様々なところで起きている、既に日常化している風景かも知れません。既に不可能に近い現実を年老われたご両親に告げるのは残酷な事で、それでは一体どんなことや情報が希望へと繋がるのかを思うととても複雑な気持になります。
こうした環境の中での制作は、相当にたいへんな作業であったようですが、無事に展覧会を開催できました。作品は少な目でしたが毎年の様に力がこもっておりました。
深谷良一
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