荻原美里さんの、当画廊では初めての個展が開催されました。大きめのダイレクトメールは開催以前からとても好評を得ており、荻原さんの個展を楽しみにされている方が大勢いらっしゃいました。全作品に流れる穏やかな気配の静謐な情景は、叙情性溢れる雰囲気ある作品でした。以下に荻原さんのコメントをご紹介させて頂きますね。
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「SPACE YUI」2019年11月11日〜16日個展を終えて
2018年6月12日曇りガラスの重いドアを開けたときから始まった。
いろいろなことが重なって偶然かもしれないけど、ここで個展をすることになり、結果として素晴らしい魅力的な空間で作品を発表できたことに感謝してます。
改めて自分と向き合うことができたのかもしれません。
2018年秋に予定していた大きな個展が突然延期になり、私の作品を発表する場所が本当に突然無くなってしまった。どうしよう。どこかで発表したい。作品を描きたい。そんな想いからSPACE YUIのドアを開けました。大学生の頃、イラストレーターのアシスタントのアルバイトでよく通っていた青山。アンデルセンでクラムチャウダーをよく頼まれて買いに行っていたあの頃。どこか憧れがあり、純粋でまだ世間知らずの美大生の自分を思い出す場所でもあります。
そんな場所に約40年も前からあるSPACE YUIで個展ができたことは私にとって喜びでもあり、いい経験にもなりました。
私にとって個展は音楽に例えるとアルバムを作るようなモノです。作品を眺めていただき、何かを感じ大切なものを思い出してもらう。そんな個展にしたいと思いました。題材は様々で統一性はないかもしれません。お菓子も置いちゃったりしてますからね(笑)ただ余韻が感じられる風景やモノ。ユーカリの香り、アンビエントな音楽と共に心地の良い風、空気感。全体を通してご覧いただき、家に帰っても余韻が残る。そんな個展(アルバム)になったんではないでしょうか。お忙しいところ、足を運んで下さった皆様、会場を提供して下さったSPACE YUIの皆様、新しい出会いに感謝してます。ありがとうございました。
これからも森で鳥のさえずりを聞きながら、都会で変わり行く空を見上げながら様々な場所で暮らし、イエスと言ってもらえる作品制作をしていきます。
「魅力とは明瞭な質問をしなくてもイエスと言ってもらう方法である。」
You know what charm is: a way of getting the answer ‘yes’ without having asked any clear question.
Albert Camus
荻原美里
Misato Ogihara
古村耀子さんの個展「モード」は、そのタイトルの通りおしゃれな感覚溢れる展覧会でした。昨年に引き続いて、作品画面にはスタイリッシュなインテリアと素敵な大人の女性が登場、全体的な雰囲気が「モード」です!
古村さん独自のメソッドによりデフォルメされ、個性豊かに表現された女性たちは、同じくグラフィックデザインのリズムが組み込まれたように格好良くインテリアデザインされた空間の中で素敵に誇り高く佇んでいると感じます。
古村さんのイラストレーションは、とても若々しく瑞々しい感性を感じますが、実は熟練された理性的かつ構築的な作品です。
そして既にデザインされたファニチュア等を、もう一度ご自身の作品画面上にアートディレクションし、静かな感情を醸成しながら創り上げて行かれるプロセスがとても楽しげに感じられるのです。
壁や床等の画面を大きく色取るスペースエリアのマチエール、プロダクトデザインされたシャープな家具や照明器具と、大胆にかたちづくられた人物とで構成された古村さんだけの画風は、大きなインパクトで人の心に残り、潔い画面がこれからどのように展開されるのかと多くの方々が注目されています。
注目のイラストレーター、門川洋子さんの個展「Secret Letters」に出品された作品の完成度はひじょうに高く、モチーフの選び方や組み合わせの意外性などにも楽しいアイデアが盛り込まれました。
門川さんの作品は、元よりたいへん描き込みの丁寧な技法でしたが、今年の個展の作品は更に視線がディープになり、繊細なデリケイトな描写が印象的でした。 中でも硬質な鋭さを持つ素材を柔らかなもので包み込む、といったコンストラクションを持つ画面の数点の作品は圧巻!という言葉が浮びます。
包み込まれる物は、刃物であったり工具であったりと金属質であるけれど少し優しい金属の感覚、テクスチュアは鉱物質に近いかも知れません。そのようなモチーフをふわふわな羽が包み、時にはリアルな質感を持ったレース糸で編まれた幅広の優雅なリボンが覆います。
そして鋭利な素材と柔らかな優しい素材とは、ひじょうに対照的な感覚をもたらし、その対比の感じは解答のないままに心に残りますが、ふと両者は遠大な時を経て同質なものに集約して行くのではないのかという思いがして参ります。
それは、門川さんが今回の作品を描く上で用いられた色鉛筆という画材が、その両者の対極的な質感の架け橋となって魔法をかけたのかも知れません。
リアルに描写された小さな機械や花や葉等のモチーフも、写実を超えて行くエネルギーと美しさがあり魅力的でした。
今年の沢野弓子さんの個展初日の朝は、いち早くお出かけ頂いた二組のお客様のお求めになりたい作品がバッティングし、複数の作品をご予約下さった方がもう一人の方にお譲りする、という一幕もありました。毎年開催の度に注目の高まる沢野弓子さんの個展オープン時から始まった賑わいは、会期の終わるまで続きました。
今回はタイトルも「動物の謝肉祭」、様々な動物たちに彩られた楽しい作品が並びました。テーマである動物たちがモチーフの作品がギャラリーを所狭しと展開され、元気なエネルギーに充ちた展示となりました。
世界を回ってご自身の足で求められた生地は、既視感のない珍しい模様や素材のものから既に日本には失われてしまった懐かしく素朴な素材など、クオリティーの高いものばかりです。
そのような素材を用いてコラージュされたバッグですが、ひとつひとつの持ち味も異なる見応えある素敵な作品として完成しております。
バッグの他、ボタンや布や身近な素材を使ってブローチも創られます。ラフな服装にも少しゴージャスな装いにも用いる事のできるアクセサリーとしての小さなオブジェは身につけるアート、生活に密着した作品として皆さんに受け入れられています。デザイン的にもバランスの取れた温かな思いのこもったエネルギーを人々は見逃しません。
次回は2021年の開催となりますが、今年作品を手に入れる事のできなかった方も含め、早くも再来年の個展を待つ人が多くおられます。
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