2011年、震災直後の6月に第一回目のFlowerDrops展を開催致しました。展覧会では、視覚に訴える作品と共にギャラリーのもうひとつの特色であるアロマテラピーの持ち味を生かそうと、その名称であるYUI DROPSの中からDROPSという単語を、タイトルの引用へと試みました。
このFlower Drops vol.1では、大きな災害により様々な形で疲弊した人々の心を緩める様な作品の方向性といっしょに、柔らかな香りとともに美味しい飲み物の提供もする、といった人間の五感の全てを意識しました。音楽もその時期にふさわしいと感じる音を選んだりと、ひたすら訪れる方々に心地よい気分になって頂く事を目的と致しましたが、それらの意図を皆様方に汲み取って頂けたように思いました。
今回のFlower Drops vol.2は、それから2年ぶりの開催となりましたが、vol.1の時と同じ様に、真夏の花の香り漂う作品と共に、何か来廊下さる方々と分かち合うことのできるテーマはないものかと、皆で相談致しました。
皆で考えた結果、作品の発表と同時に、オープニングには天使、最終日には悪魔の扮装をしながら「すなっく唯」を開催する事など、楽しいイベントのアイデアが次々と生まれました。そしてアイデアだけで終る事なく、6人+1人の素晴らしい実行力により、来廊下さった方々も、そして実は出品者本人たちが一番!楽しむことができました。
オープニングの日には、皆、思い思いの天使達が揃いましたが、自らをバロックの天使に模し演じた澤奈緒さんが人気をさらいました。フラアンジェリコの様な天使の完成度の高さには実際皆が圧倒され、同時に誰も知らなかったひとつの才能と彼女の可能性とをインプットされてしまいました!
また、「すなっく」というのは、20代、30代の方にとっては既に昭和の文化財の様な存在なのでしょう、若き出品者たちは、一日だけの「すなっく」実現に向けて眼の色を変え、作品作成と同じくらい若しくはそれ以上の力量を見せました!
時空間を超える哀愁漂うパンフレットを作成した須川まきこさん。海外からのファンも多い、彼女の普段の作品からは想像もできないものでしたが、キュートな遊び心は共通するものでした。
すなっくのメニューを作ってくれたエヴァーソン朋子さん。グラフィックデザイナーとしての才能もある彼女は、この展覧会のむずかしいDMのデザインも担当、各々の作品をきれいにまとめました。
コストパフォーマンス、客の流れを考え、生ビールのサーバーや重たいガスボンベ迄準備し、またジャストフィットの照明器具もあつらえる等、オカダミカさんの本業とは別分野での素晴らしい才能と実行力には誰もが驚かされました。繊細な作品からは想像できない逞しいミカさんを発見しました!
元気溌剌、皆の妹のような竹井千佳さんは、彼女の作品そのままの可愛らしくパワフルな存在感で、 現場の空気を活気づけ、(軽い)熱中症にも打ち勝ってがんばって下さいました。
また、この企画展のきっかけとなったのは、天然無敵の優雅さで、おっとりと皆を包み込む一番のお姉さん役、石橋優美子さんの個展からであり、陰に表にご協力を頂きました。
最後に、すなっくのママ役でしたが実は一番年令の若い葉月ちゃんは、天性のピュアなバンプぶりと、相反するかの様なリーダーシップが見事なものでした。葉月さんは、tokoneというブランドを立ち上げ、オカダミカさんや須川まきこさん等多くのアーティストによる斬新なデザインのタイツを創っている方ですが、彼女個人のエネルギーも、貴重なものに思われます。注目株の彼女は最終日に雑誌「アエラ」の取材を受けて、出品者全員と共に掲載される予定です。
一見楽しそうな、今になると何の苦労もなかったかの様に通り過ぎた展覧会の行事でしたが、実行するにはかなりの知力、体力、表現力等、総合的なエネルギーが必要であって、彼らのバランスのとれた能力の高さには、本当に驚かされました!
これらの事は、単に楽しかったイベントとして終ってしまうのではなく、壁面を飾る作品のパワーと同様に人々にエールを送り、楽しい気分を誘う、おもてなしの心に満ちた、人々の気持ちに沿った表現であったと思います。
皆さんの前に唐突に出現した一夜限りの「すなっく唯」、そしてこの展覧会そのものが、出品者と画廊を訪れる方々とのコラボレーションでした。
この楽しい雰囲気を分かち合う事ができた記憶をたいせつなひとつの作品の様に感じます。この空気感を繋げて、また新たな形で進んで行く事ができる様な気がいたします。
http://old.spaceyui.com/schedule/flower_13.html
online shopに載っているため、草間彌生さんの作品を販売する機会がありましたが、さすがに草間さん!!実際の草間作品の魅力とは別の、熾烈なビジネスの世界に触れるというたいへんな経験をさせて頂きました。もっとも自分の場合、大きな価格が動きますが実際の利益は小さく、労力は大きいというビジネス世界の劣等生ぶりを発揮してしまいましたが・・・。今、草間彌生さんの作品は、色々な意味で最も注目されていると言えるでしょう!そのため、人気の草間作品は、業者間でも驚く程のプライスで取引きされ、ほとんど奪い合いの様な実情を実感致しました。
そしてつくづく感じた事、私はこういうビジネスに向いていないナ、という事。駆け引きのビジネスや関係というのはエネルギーが長続きしません。このような仕事にもドンと腹が据わり、疲れずに日々の仕事も何気なくこなせる人にはとてもなれそうもありません。ちょっと悔しいですが、仕方ないですよネ!
そして、今週のシーノ・タカヒデさんの作品展。日々の生活に根付いた気持ち良さに溢れています。バイヤーの方もコレクターの方も、投機的な目的や名声ではなく、心を開いて、諸先生方の後に続く作家たちの心地よいエネルギーを感じ取って頂きたいものです!!
毎年、秋に開催するシーノさんの個展を今回は夏に開催です。
いつも心にアフリカを抱いているシーノさんの作品の中に、自然や生き物への愛着や慈しみを、絵筆を取って描かずにいられない絵描き魂を感じます。
http://old.spaceyui.com/schedule/shiino_13.html
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