Monthly Archives: 8月 2020
2020.08.17:月曜日

 

 

 

 
宮本崇輝さんの作品からは軽やかな清潔な印象といっしょに、いつも励ましの息吹きのようなものが、ご覧下さる方々に伝わって行くのを感じます。
宮本さんご自身の常に前向きな姿勢からも、このような時代に特に皆様の共感を呼ぶのかと思います。
今年は、新型コロナウィルス感染の影響から、吹きガラスという息を強く吐きながら制作するという技術的な特性により、展示作品の種類や形態に大きな制約が生じました。
一人では制作できない大きな作品や、大きさはそれ程でなくても技術的な観点から不可能なものなど、作りたくても作れないタイプの作品が多くあったようです。
例えば昨年人気だった、人の掌に丁度収まるタイプの、親しみを禁じ得ないオブジェが該当します。楕円形の小宇宙を感じさせられる小さなオブジェは、空気よりも更に透明感を感じる部分と大地や岩場の質感を表現した部分、また海や空の色を映しとったような部分など、異なる素材感の組み合わせによってできた素敵な作品でした。
そういった作品は、サポートしてくれる助手の力無くして作り上げることは不可能なのだそうです。伺ってみるともっともな事と納得致しますが、作家にとってこれまでできていた自由な発想から作り上げる作品にチャレンジできないという事は本当に残念な気持でいっぱいだったでしょう。
そのような事もあり、今年は「GLASS」というタイトルが示すようにガラス制作の基本に戻り、最初の個展のテーマでもあった様々なシンプルなグラスが展示されました。
人が常に身近に置き、朝に夜に用いるグラスは、最初から最後までの制作行程を一人で成し遂げる事が出来るそうです。それも、とてもシンプルにストンとした形のものだけで、台座が付いているタイプのものは出来ないそうなのです。
そうした制限のある条件の中で、宮本さんは出来得る限りのチャレンジをされ、見事に素敵な個展を遂行されたと思います。
とても不思議のことに、宮本さんの、実際に作品の中に光が閉じ込められたように感じる器やグラスがあります。毎日のように小さなこれらの器を使う時にエッジの効いた光を感じ、清涼な心地よい気分を味あわせていただいております。
 

 

 

 
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