思わず頬を緩めずにはいられない金沢和寛さんの作品展、今年は秋の「黄葉」がテーマでした。道に舞う銀杏や広葉樹の黄色い葉っぱが、一瞬、金沢さんの作品とリンクしてしまう印象深い作品が展示されました。
一昨年の展示では、「桜」がテーマでその時の丹生込められた桜の樹の小さな花びらが集大成された記憶が今回の秋の「黄葉」と重なって、金沢さんの思いが伝わりました。
小動物や子供たち、老人への優しさと、自然界の営みへの心情が繊細な作品を通じて心に沁み通る様でした。
そのような作品制作には、たいへんな集中力と細かい作業への多大な時間が必要とされますので、ギリギリまで作品に向き合われていた金沢さんに搬入時ちょっとしたアクシデントがありました。
痛めた足は、すぐに良くなって行き、ほっと皆安心致しましたが、その辺りの事も含めて金沢さんに書いて頂きました!
追記:
近々の救急病院を名乗る病院なのに、担当医が科が違うのでとか、外科病院なのに外科の医師がいないのでとか何件も断られまくり、やっと受け入れ病院が見つかった時には、本当にほっとしました!
ちなみに、会期中に杖をついた小さなクマさん(金沢さんにそっくりな)が出現しましたが、あっという間に売れてしまいました!
↓
スペースユイでは2年半ぶりの個展になります。
ご多忙の中、足を運んでくださった皆さま、どうもありがとうございました。
今回は、今までに制作した秋のシーンの作品を中心に展示しました。銀杏の葉の黄色で明るい雰囲気の空間になったと思います。新作の介護シーンの作品やベビーカーの親子の作品は、今までとは違う1歩を踏み出せた感じがしています。
また、久しぶりの個展でしたが、見に来ていただいた方々に直に感想をいただけるのはとても幸せな事だと、あらためて思いました。
ユイの木村さん、スタッフの皆さま、いつもどうもありがとうございます。
20数年前、最初は客としてイラストの展示を良く見に来ていましたが、気付けば今では展示する側に回りました。またこのスペースユイで作品を展示できる日を楽しみにしながら、これからも作っていきたいと思います。
追記:
土曜日の搬入作業中にふくらはぎの肉離れを起こしてしまい、木村さんに救急で診てもらえる病院を電話して探してもらって、搬出作業中の北沢夕芸さんとお仲間の方々に手助けしてもらい、赤帽さんが僕を病院まで運んでくれました。病院に行っている間に、木村さんとスタッフの高橋さんが壁面の写真パネルの展示をしてくれました。そして月曜日の早朝に残りの立体作品の展示をして、なんとか初日に間に合いました。今回の個展、皆さんの親切なご協力で無事に開催できました。重ね重ねありがとうございました。
金沢和寛
http://old.spaceyui.com/schedule/kanazawa_2021.html
北沢夕芸さんの個展「少女時代 X -Genaration Girls X-」では、とてもシンプルに軽やかになった少女たちがこれ迄の北沢さんのシュールな感覚はそのままに表現され、以前から北沢さんの作品に触れている方々を驚かせ、そして楽しませて下さいました。
今回の個展では、これ迄の立体作品が平面作品となって表現されたような感覚があって、北沢さんの心境の変化や進化のプロセスに参加させて頂いている様な楽しみ方ができたと思います。
また水沢そらさんの作品展の時にも、男性の中の女性性についてという興味深い話題が出ましたが、北沢さんの個展では更に掘り下げられたファンキーなお話を聞かせて頂きました。その辺の部分は北沢さんご自身のコメントでご紹介させて頂こうと思います。
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「ありえない話だけど、僕の少女時代を思い出させてくれるような展示でした。」
これが昨年のスペースユイでの個展「白日夢探偵」を見に来てくれた、デザイナー真舘嘉浩さんの感想でした。
少年時代というよりも少女時代の方がニュアンスが近い、そんな子供時代を過ごしたのかもしれない。
それは僕もそうだったのかも、少なくとも部分的にはそうだった。
僕たちが過ごしたかもしれない少女時代、だから「少女時代X」
ヒントをくれた真館さんは去ってしまったけれど、その煌めきはまだ僕の胸に燃えている。R I P
北沢夕芸
http://old.spaceyui.com/schedule/kitazawa_2021.html
変わらぬ人気の作家さん、水沢そらさんの充実の個展が開催されました。今回の個展につきまして、水沢さんからコメントをいただきました。
少女たちの肖像等を通して水沢さんが表現される世界観が、より完成度高く伝わって来る理由がご本人からの解説を得てとても良く理解できました。
水沢さんは、オーソドックスに「描く、それも普通に」をテーマに〜
とおっしゃっておられますが、そういった姿勢が普遍性を得て、よりパワーのある作品へと繋がり、更なる芳醇な世界へと向かわれている様に感じております。
↓
SPACE YUIで3度目の個展が終了しました。
お越し頂いた皆さま、少しでも気にかけてくれた皆さま、YUIスタッフの皆さま、いつも本当にありがとうございます。
今回の個展『TODAY』はそのタイトル通り、「今日の自分≒今の自分」の作品をどう提示するか、ということに強くこだわって作品を制作しました。
ご存知の方も多いかもしれませんが、3年前より以前の技法をいったんストップし、よりオーソドックスに「描く、それも普通に」をテーマに制作に取り組んできたのですが、今回の作品群をYUIに並べたときに、ようやく一定の着地を得ることができたというか、ある種の達成感を感じました。
実際、今回一点だけ以前のスタイルに近しい作品を展示したのですが、他の作品とも違和感なく展示することができ、そういった意味では何周か回って回帰したのかも知れません。切って貼っての技法も今後はまた並行してやって行けたら良いな、と思っています。結局のところ、自分は自分だったという事ですね。当たり前なんですが(笑)
最後になりますが、この文を読んでくださっている皆さまにまたいつか作品をご高覧頂けたら、それはとっても嬉しい事です。その日が来ることを今より楽しみにしています。どうもありがとうございました。
水沢そら
http://old.spaceyui.com/schedule/mizusawasora_2021.html
本来、昨年の10月に開催されるはずだったカナダ在住のスリープレス・カオさんの個展が、生憎のコロナ禍により一年もの間延期することになり、日本側からもたいへん心配しておりましたが、この度やっと無事に開催する事ができました。
カオさんはセツモードセミナーを卒業後、カナダに渡られてから既に28年間をカナダに住われておられます。
自然に囲まれた港を臨む美しい都市、バンクーバーでの生活と、少し離れたもっと自然の溢れるペンダーアイランドとを行き来するという生活形態は羨ましいかぎりです。
そのような環境で育まれた感性によって表現されたイラストレーションは、見ていてとても心地良い空気感と共に、カオさんご自身の前向きなエネルギーが伝わって参ります。
作品の中の少女たちの思わず微笑まずにはいられない表情、色彩感覚や形の省略のメソッドなど、様々な方向から優しさの溢れるインターナショナルな感性が感じられます。
今回の個展では、一年延期されたという事情もあって作品の量も多く、たいへんエネルギッシュでした。
次回はもう少し数をしぼって更に洗練された展示になる予感がしますが、逆にエネルギッシュにワイルドな展開になっても面白いかな〜等とも思わされるまだまだ謎の多いスリープレス・カオさんの興味深い展覧会でした。
そんなカオさんの楽しい文章をご紹介しますね。
↓
セツに通っていた当時、スペースユイは憧れのギャラリーでした。セツ卒業後にカナダに渡り、アメリカ、香港と転々とした後、バンクーバーに落ち着きました。
日本に一時帰国した折に、縁あってスペースユイさんで個展をすることが決まり、天にも昇る心地でした。昨年コロナで展覧会のキャンセルを決断した時には私の中の小さな子供がどんどんしょげていき、(あぁ、スペースユイさんで展覧会なんて夢だったのかも)と思ってた時にオーナーの木村さんから国際電話があり、相手の気持ちを思いやる優しい言葉に助けられ、一念発起して頑張ることができました。1年越しで来日することができ、たくさんの人に見に来ていただけてとても嬉しく思っています。
絵を描くテーマの根底にはどこか知らない世界を旅して自分のルーツやアイデンティティを探すというのがあります。行ったことのない街を訪れていろいろな経験をしてアートに生かしていきたいと思ってた矢先のパンデミックだったので、どこにも行けずに息苦しい思いでしたが、アートで旅をすればいいのだと思い、自主隔離中も脳内トラベルを楽しむことにしました。
私の中には小さな女の子が住んでいて、その子が絵のテーマになることもしばしばです。
The little girl in me who is still learning how to be in this world.
She is still shy and not confident to come out. When I draw, she becomes more confident and gregarious. Slowly growing, she experiences more of the world.
普段は煉瓦造りの街並みで有名なバンクーバーのガスタウンに住んでいます。昔はアーティストがたくさん住んでいた街ですが、近年はちょっとリッチな人たちと浮浪者が入り混じった場所となっています。
木村さんは”島の生活をいいな~”と言ってくれますが、実際は小さなキャビンがあるだけでほぼキャンプ状態です。トイレはといえば森のような庭が”どこでもトイレ”です。もしくは手作りのボットン便所があります(笑)
良いところは錆びた猫足のバスタブが庭にあって満点の星が見られます。
コロナが収束して、皆さんにぜひカナダの島々を訪れていただきたいです。(観光大使みたいな口調になってますね。笑)
スペースユイでの個展ははじめただったにもかかわらず、出会う方、出会う方、皆さんに良くしていただいて感謝が止まりません。本当に居心地が良くてあっという間の1週間でした。
再来年、またカナダからアートを背負ってやってきたいと思いますのでよろしくお願いします。
Kao
http://old.spaceyui.com/schedule/sleepless_cao_2021.html
鹿を中心とした生き物=生命体を通し、人間の柔らかな心情やデリケイトな心の襞を表現することに成功したミヤギユカリさんの展覧会は、来廊された方々に大きな共感を持って受け止めて頂きました。
ミヤギさんによって描かれた森の中の鹿や鳥たちの瞳には、静かな水を湛えた湖のような気配が宿り、その眼差しは作品の中から何かを語りかけているかに感じられます。
鹿は、古来より人々に神秘的なイメージを掻き立て、神話のモデルとして語り継がれたり、神の使いとして大切に扱われておりますが、ミヤギさんの描く鹿たちと出会い、改めてその真髄に触れたように思いました。
柔らかな水彩のタッチで表現された作品がメインでしたが、一方で黒一色で大胆に表された作品もたいへんインパクトがあり印象深い天性の表現力を感じさせられるものでした。
ミヤギさんの個展案内状に、
「瞳の中に潜む野生。美しいその背に触れようとした瞬間、ふっと向きを変え森の中へ消えていく。幻なのかーーそしてDeerが連れてきたフクロウ。また森の中を描き続ける。」
という、短いけれどとても詩的に感じられる文章がありました。
ミヤギさんの描く鹿の瞳と出会い、そしてその文章を目にした時に、ふとずっと以前に読んだフランソワーズ サガンの短編小説「絹の瞳」を思い出しました。
あまりにも時が経ってしまったため、細かなストーリーは忘れてしまいましたが、追いかけても辿り着けない黒い神秘的な瞳を持つ者は、カモシカだったような気が致します。
山の中で鹿と出会った登場人物が、山道を追いかけて行き、追いつきそうになると離されながらも振り返り早くいらっしゃい、と、鹿の話しかけるような瞳に魅せられる・・・というようなお話の不確かな記憶でした。
今回ミヤギさんの個展に登場した生き物たちは、人々の中の様々な物語を思い起こさせ、静かに優しい感情を呼び起こす力量のある、魅力的な生命体だったのだと感じています。
http://old.spaceyui.com/schedule/miyagiyukari_2021.html
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