Monthly Archives: 5月 2021
2021.05.28:金曜日

 
 

 
 
写真家百瀬恒彦氏のポートフォリオを拝見したときに、見慣れたはずのマザーテレサの肖像がありました。
そこには、見たことのない、言葉では表現できないこちらを見つめる眼差しがあり、
この時代にこそ、皆様に見て頂きたい百瀬恒彦さんの作品をと、展覧会を企画させて頂きました。
和紙に乳剤を添付して印画紙を作り暗室でプリントしたもの数点、越前和紙にインクジェットでプリントしたものとで20点ほどを展示致しました。
百瀬さんのメッセージの文章、ぜひご覧下さい!!
 

 
「特別な人」 マザー・テレサ                           
 
仕事柄、女性雑誌を中心に数えきれないほどたくさんの人のポートレートを撮ってきたけれど、そのなかでも僕にとっての「特別な人」がいる。マザー・テレサ。
僕がマザー・テレサと出会ったのは、彼女が亡くなる2年前の1995年2月、インドのコルカタ(カルカッタ)にあるマザーの教会「神の愛の宣教者教会」でだった。このときも雑誌の仕事で、事前に施設などの撮影許可は得ていたのだが、当日、マザーがその教会にいるとはかぎらず、しかも彼女は大の写真嫌いで有名だった。
けれどもその日、ミサにマザー・テレサがどこからともなく、影のようにふっとあらわれた。思ったより小柄な人だった。世界中から集まった人々がどよめくなか、一人ひとりに声をかけながら彼女が僕に近づいてくる。マザーの姿を間近で撮りたいと思った僕は思わず、目の前に来た彼女に「ミサのときの写真を撮らせてください!」と言っていた。一瞬、マザーの人の心を見抜くような鋭い視線に睨まれた。永遠にも思われた時間が経過したあと、マザーの口から出たのは「よいでしょう」という一言だった。
あとで聞くと、マザーがミサで祈る写真を撮ったフォトグラファーはほかにいないのではないかということだった。僕自身、あのときの緊張の一瞬一瞬を思い出すと、いまでも心が震えてくる。
 
 

 
 
http://old.spaceyui.com/schedule/momosetsunehiko_2021.html

2021.05.07:金曜日

 
 

 
 
2014年に、越智香住さんの作品を初めて見せて頂いた時に、何てセンスの良いおしゃれな陶芸なのだろう、と感じたことを思い出しております。
ご自宅の窓際に展示するように置かれた、白いお皿やカップなどの器や小さな家のオブジェは、ハイセンスなインテリア雑誌の1ページのようでした。
ところが、実際の個展では、そのようなおしゃれな陶芸作品やオブジェはギャラリーの一部分での展示に過ぎず、主体となる作品は釉薬などかかってない荒削りとも言えるダイナミックな彫塑作品でした。
まだ宗教や科学、芸術などの境い目が認識されない遥かな時代の、アニミズムやアルカイックといった言葉を想起させられるような、力のある作品群には本当に驚かされました。
そして今年は7度目となる越智さんの個展ですが、ずっと驚かされ続けているのです。
時代の先端を行くインテリアスタイリストのようなセンスと、人の心奥にひそむ魂を掴みとる力とを併せ持つからこそ、多くのファンの方々の気持ちを捉えて離さないのでしょう。
越智さんの作品の中で、日常世界から少し超えた意識の感じられる「祈りの世界」、また、逆に「呪術的な世界観」、そして普段の我々の世界にそのまま存在する無邪気な犬や猫などの作品・・・・。
それらが全部矛盾することなく、越智さんの作品世界として展示され、訪れた方々の目を楽しませてくれました。
昨年は、コロナ禍のため、個展中止を余儀なくされてしまい、ファンの方々をがっかりさせてしまいましたが、今年は昨年の分のエネルギーも込めて、そして数量的にも多くの作品を展示下さいました。
2022年も同じ時期に個展開催を予定させて頂いておりますが、少しでも穏やかな世界になっておりますように・・・。
思わず、越智さんの作品に願いを込めてしまいます!
 
 

 
 
http://old.spaceyui.com/schedule/ochikasumi2021.html

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