北沢夕芸「BOOK on the FIRE」にて、昨年、一昨年と同様にキャンバスに描いた平面作品と共に、親しみ深い北沢ワールド全開の立体作品が展示されました。
北沢さんの独特なペインティング作品には、どこか知らない場所へと連れて行かれる様な、想像力を刺激する力を感じます。
SF小説のように、時相が少しずつずれて行ってしまい、いつの間にか次元が入れ替わってしまう様な・・・。
今度はどんな仕掛けで驚かせて下さるのだろうか?と、次回の展開がすでに待たれます。
北沢さんのブルーのクマをはじめとするキャラクターや、きりっとした猫たちも虚空を見据えて立ち上がっています!
北沢さんの創り上げた、人間や動物たちの小さな3次元の肖像作品が成長してインターナショナルなアイコンになっていかれることを待ち望んでいます。
楽しいショート小説、北沢さん作です。
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僕は中年男性が主人公のハードボイルドを読んでいた。
彼は私立探偵だった、コーヒーをいれるためにケトルでお湯を沸かしている。
そこに急を要するクライアントからの電話。怪しげな場所でクライアントの女性が危機的状況に陥っている。
探偵は罠かもしれないと思いながらも、夜の街へ飛び出していった。
さて、ケトルはどうなったのだろう。20世紀中頃の話だから、コンロの安全装置が働いて自動的に火が消えたりはしない。
翌日この小説の続きを読もうとして、前後の繋ぎがわからなかったので、少しさかのぼって読み返してみた。
探偵は、コーヒーをいれるためにケトルでお湯を沸かしていた。
そこに急を要するクライアントからの電話、怪しげな場所でクライアントの女性が危機的状況に陥っている。
探偵は素早くケトルの火を消すと、彼女を救うために夜の街に飛び出していった。
おや、この個所は昨日読んだ時とニュアンスが違うような気がする。けれでも、大筋とは関係ないから気にせずに先に進もう。本を読むにはリズム感が重要、細部にあまりこだわらないことが大切さ。
(北沢夕芸)
国井節さんの彫刻的なオブジェからは、強い生理的なエネルギーを伴った迫力が感じられます。
半立体と呼称すべきでしょうか、 国井さん独自のスタイルを貫かれた平面作品からも同じく大きな生命の力がみなぎっておられます。
生命の起源や生成をベテランの技巧で自在に表しているかの様 . . . .
TWO FACESというタイトルのごとく、神話の中の光と闇を象徴する女神、魔女達のDNAは、国井さんの内部にも存在し、宇宙を循環しているのでしょうか。
いつまでも失う事なくお持ちのパワーとエネルギーは、誰も真似の出来ない国井さんご自身の作品の個性と共に、素晴らしいものと感じられます。
デビューから30年を飾る平野恵理子さんの個展「捨てられなかった小さなものたち」が大好評を得て、開催する事ができました。
四年半ぶりの個展開催でしたが、平野恵理子さんの変わらぬ人気を再確認させられました。小さなラベルやマッチ、包装紙、海辺で採集した角の丸いガラス片といったもの等々・・・。平野さんが愛でる作品を拝見していると、ひとつひとつ小さなものの平面デザインの中に込められた愛情に感じ入ってしまい、これからはもう何も捨てられなくなりそうです。
小さなちびた鉛筆一本にしても、考えてみますと、芯の部分はもちろんの事、木質部分や表面の塗装の領域、そしてデザインワーク、と、多くの人々の手を通り私たちの元へとやって参ります。
平野さんの作品を通して、数限りないひとつひとつの「小さなもの」に、多くの人々の手が関わり、様々な思いが込められている事を再認識させられました。
本当にたくさんの方々が、平野さんの温かなものへの接し方から生まれた作品に、シンパシーと感動を覚えていらっしゃった様子がひしひしと感じられました。
大勢のお客様の中には、グラフィック関連のお仕事の方々もたいへん多く、なるほど小さなものたちには全てグラフィックデザインが成されているのだ!と気付かされたのでした。
平野恵理子さんの出発は、まだ小さかった画廊SPACE YUIからでした。可愛らしく学生気分の抜けない若々しい恵理子さんでしたが、瞬く間に、練熟の域の表現力と人々との共感を呼び覚ます創造のエネルギーを以て大活躍される様になり、現在に至っております。
平野恵理子さんの眼差しが、次回はどんなモチーフに向うのか、今から楽しみです。
エッセイストでもある平野さんから文章が届きましたので、以下にご紹介させて頂きます。
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