この夏に、写真家の百瀬恒彦さんと知己を得ることができ、ギャラリーにとりたいへん光栄な嬉しいことと思っております。
「指輪物語 THE LORD OF RINGS.」という個展タイトルも、様々なイマジネーションを呼び起こすロマン溢れるクレジットですが、実は指輪は「核」であり破壊すべきものという前提のストーリーがあります。百瀬氏は反戦・反争いの思いを、美しい描写と重ねていると感じられます。普通に考えたら自明の理と思える私たちの核への拒絶感ですが、理不尽にも厳然と存在している不明に慄然と致します。
それでも百瀬さんの描く指輪(核)は美しく感じられ、煌めく光は宇宙の彼方にありながら、人間の中の奥深い細胞の中から生まれる存在でもありそうです。もどかしく辿り着けない光は、私たちに難しい問いを投げかけるかのように感じられます。
百瀬さんはスコットランドの水辺や山々、視覚的にドキドキする佇まいの古城や人の気配のない建物などのモチーフを、人々の想像力を膨らませるように、また分かち合うように、描写されておりました。
今年の作品は、スコットランドのエジンバラで撮影されたものでしたが、来年の秋にはUSAのアーミッシュの人々や日々の暮らしを描写した作品を発表致します。映画でもお馴染みのアーミッシュ、電気も自動車ももちろんスマホやPCもなく、利便性や情報を意志的に遮断するという、私たちとは対極の生活を自らに課している彼らの生き方は、今、特に注目すべき存在の在り方と言えるのではないでしょうか。
夏の風物詩の様なシーノ・タカヒデさんの展覧会でした。
一昨年にシーノさんが間違えて20回記念の展覧会とおっしゃっていて、実際は18回目でしたが、今年は正に20回目の個展開催となりました。
シーノさんを応援して下さる方々は、本当に大勢いらして、毎年の開催を楽しみにして下さっております。
今年は、平面構成の色彩の工夫を凝らしたり、数年前の作品のリメイクでヴァージョンアップさせたりと、ベテランの力強さを見せて頂きました。
シーノさんの作品は特定のファンの方々を惹きつけて止みませんが、シーノさんのペインティング作品の明るく強いパワーを持つ個性が、より多くのメディアに広がって行くことがとても楽しみです。
デンマークボーンホルム島に滞在した宮本崇輝さんは、大地や岩礁の土の色と芽生える植物の息吹きを、そして空や海の透明な青色を、彼の作品に写し取る様に制作されました。
元来大地からの原料で成るガラス素材を、再び大地に戻すかに思えるその試みは、たいへん人々の視線を魅き付け興味を呼ぶものでした。
岩礁の様に見える場所から透明な新芽が生まれるガラスオブジェを作成する宮本さんの作業は、止むに止まれぬエモーションだった様に感じられます。ガラス制作に詳しい方々によると、それらの作品に要する技術は並大抵のものではない、という事です。
小さな花瓶や器にも、私たちの住む星の地表が映されて、音楽が聴こえる様な様式あるリズム感溢れる姿に魅了されました。
また彼の定評あるゴブレットは、プロダクト的な角度からも純度ある作品としての観点からもとても完成度の高い物と思われます。クラシック感覚の最も良好な感じと、若々しく今までにない感覚がひとつのゴブレットの中に同時に存在していて、たいへんな人気でした。
その器を用いる時、人々の心に高揚感をもたらすような力を持つ作品、素敵だな!と思います。
宮本さんのガラス作品のファンは、年々増えていて、そのどんどん力を増して行く様子に皆さんが目を見張られているのです。本当にこれからが楽しみな作家さんです。
宮本さんは文章も、スタイルがあって面白く感じます!以下はfbに寄せられたコメントから・・。
↓
個展が終了致しました。
たくさんの方々に興味を持って頂き、そしてお越しくださり誠にありがとうございました。
あづみ野ガラス工房を卒房後、足掛け三年間に及ぶ海外での様々な経験の集大成として滞在したデンマークのボーンホルム島。ここでの制作により自分らしさの原石を発見することができました。
今回、この島で制作した用途の無い立体物をメインで展示販売する事は大きな挑戦でした。私にとって純粋にメリット、デメリット等考えず自由に制作し発表する事は自分を成長させるために必要な行為の一つです。この挑戦を快く受け入れて頂いたスペースユイに大変感謝致します。
芸術家、工芸家、デザイナーなどジャンルを決めることなく、自分を信じ努力を重ね、一人の人間宮本崇輝として成長していきたいと思います。
次の機会も御期待ください。
最後に個展を開催する際に大変お世話になりましたRoyal Danish Academy Bornholm、富山ガラス造形研究所、調布グラススタジオ、スペースユイ、ユイの隣の神社、そして御来場、御興味を持って頂いた全ての方々に大変感謝致します。
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