毎年展覧会を開催して頂いているシーノ・タカヒデさんが、今年は20回目の個展です、とおっしゃった時には不思議にぴんと来なくて、え~っと思いましたが、2回程少なかったのですね。18年目という事だそうです。
今年もシーノさん、女性にたいへん人気がありました。それもとびっきり素敵な大人の女性陣です!一番自慢できる出来事としては、何と言っても山口はるみさんにお越し頂き、「シーノさんは天才!」とおっしゃって頂いた事ですね。そして「人を天才なんてめったに言いません!」と、はるみさん。
その日のシーノさんの嬉しそうな顏が目に浮かびます。(hpの写真にもあります)
また、シーノさんの独特の語り口の文章も面白いです!!ぜひお読み下さいませ。
☆ 続ける事 ☆
1998年 『START UP』と言うタイトルで始めたEXHIBITIONも 色々な人のお力沿いや助言のおかげで何とか今年で18年目を迎える事が出来ました
ドジな僕は 今回のYUIさんでのEXHIBITIONが何故か?20年目と勘違いしていました
そんな恥ずかしい勘違いの中これまでのEXHIBITIONに関連する色々な出来事を思い返していました
これまでに年に1度 Spece yuiさんの空間を使って 思いつく限り 色々な事をさせて頂きました
当時 アフリカ 東京 高知と行き来していた頃 Kenyaで個展をしたりナイロビの日本人学校でライブペインティングをしたりナイロビ郊外のマサイの家や近くのお店の壁に『絵』を描くために 年に1度Kenyaに数ヶ月滞在していました
10年目には ツァーを計画してコンゴミュージシャンとも ライブペインティングをナイロビのお店で行う事ができました
東京でも 旅の延長で知り合ったミュージシャンにYUIでのオープニングで演奏してもらい 通報されたりと オーナーの木村さんには 随分 迷惑をかけてしまったりしました
同時に 恵比寿のライブハウスで知り合った仲間と手作りイベントを企画してミュージシャンの音に合わせてのライブペインティング CDを作ったり高知でのライブツアーを成功させたり
それを見て頂いた人からのアフリカイベント出演のオファーがあったりと遊びの中で少しづつ成長していった気がします
名もなくいい加減な イラストレーターの絵を観にわざわざ足を運んでくれた人達 絵を買ってくれた人達
こんな感じで毎年 EXHIBITIONが開けるのもYUIの木村さんや皆様の暖かい気持ちがあればと 改めて感謝の気持ちでいっぱいです
そして…これから本当の『20回目』…を無事迎える事ができるよう これまで通り楽しく『絵』を描く事を続けて行こうと思っています
よろしくお願いします
シーノ☆タカヒデ
http://old.spaceyui.com/schedule/shino-takahide_16.html
「MIZUMARU ANZAI ON THE TABLE 」 ー 新出版社 BACIより
ご自分が勤めておられる美術系出版社で、安西水丸さんの版画を収めた作品集を出版したいと、ひとりの若い編集者の方が来られました。
画廊で安西さんのシルクスクリーン版画を作り始めてから30年になり、作品の種類も200を超え、自分でも版画の作品集の出版をどこかで望んでおりました。
結局のところ、彼女の努力にも関わらずこの計画は会社側に受け入れてもらう事はできませんでしたが、安西氏の世界観に深い共感と理解を寄せる若き編集者内田有佳さんは、勤めていた会社を辞め、BACI (イタリア語でKISSの意)というキュートな名前の出版社を起ちあげてしまいました。
当初、図録のように作られるのかと密かに期待していましたが、都合の良過ぎる私の意に反し、美しいオブジェのような作品集が出来上がって参りました。ずっと小さなギャラリー、スペースユイで個展を開催して下さっていた水丸さんですが、そのエッセンスをこのような形で残して下さった内田さんには、意に反するどころか大きな感謝の意に堪えません。
編集者の真っすぐなエネルギーと、静かな気配の立ち上る「ON THE TABLE」というタイトルの、水丸氏が個展のために描かれた作品集を、ぜひ手にとってご覧頂きたく思います。
http://shop.spaceyui.com/?mode=cate&cbid=1272227&csid=7 ← SPACEYUI online shop goods&bookの欄
春のちひろ美術館:庭の花壇
夏休みに入る前には行きたくても時間がとれなかった美術展にやっと行く事ができました。ちひろ美術館で開催されていた展覧会「村上春樹とイラストレーター」です。
佐々木マキさん、和田誠さん、大橋歩さん、安西水丸さん、と4人のイラストレーターの内、佐々木マキさん以外の三人の方々とはスペースユイとたいへんご縁が深く、この展覧会のキューレーターの原島さんとは二年以上以前からいっしょにこのお仕事に関わらせて頂いておりました。
展覧会会期に合わせて「村上春樹とイラストレーター」という書籍もナナロク社より発刊されました。 出版に際して多くの方々等との関わりの中、たいへんな事もありましたが、 ナナロク社の川口さん、ちひろ美術館の原島さんという、若い世代の優秀な方々と仕事をごいっしょできた事が貴重な思い出です。
最終日にやっと伺う事ができましたが、本当に素晴らしい展覧会でした。緑に囲まれた美術館にはお客様が溢れ、工夫に満ちた美術館の建物も魅力的でした。
安西水丸さんが亡くなられてから、京都の美術館やちひろ美術館で改めて水丸さんに(残されたお仕事の数々と・・)お会いすると何だか不思議な感覚です。大規模な展覧会を開催される主催側は、作家と作品の歩みをつぶさに年表制作なさる等、一ギャラリーの行う短期集中型の展覧会とはまた異なるかたちで多くの時間とエネルギーとを費やされます。それらの知的作業に対しまして、誠に敬意を表さずにはいられません。
堂前守人・堂前理子「陶の器と金属のアクセサリー展」
函館で活動を続けられる堂前守人さんの花の絵柄の陶器は、堂前さんの多くのファンの方々から会期をお待ち頂いています。一枚一枚丁寧に平面絵画を描く様にカップやお皿を描かれます。シックで味わいのある器たちは見応えあのある作品です。
今年はシルバーと真鍮の素材を用いて繊細なアクセサリーを創られる堂前さんの次女の理子さんにもご参加を頂き、好評を得る事ができました。
また、堂前守人さんから味わいある翻訳小説のような文章を次のようにお寄せいただきました。
今年の春、海の見える高台の家から
市電電停前の家に工房を移しました。
移ってみて仕事場作りをしながら気がついたのは
これは前に見たことがあるよねってこと。
30年前に1年過ごしたニュージーランドのオークランドの工房は
道路に面した店舗の裏に芝生の庭が広がり、
その奥に工房があってゆっくりと陶器を作っていました。
庭には牧羊犬が1匹。
今の工房からはまだ庭とは呼べないけれど
周りから閉ざされた空間があり、
その向こうにはお店の建物が見えます。
これってずっと探して来た場所だったんじゃないって思って
毎朝、眺めています。
堂前守人
http://old.spaceyui.com/schedule/domae_16.html
去る7月2日、シルクスクリーンの作家で、毎年個展を開催して下さっていた田村愛さんが永眠されました。この6月にお誕生日を迎えられたばかりでした。
いつも明るい笑顔で朗らかに語り、潔く大らかな性格だった愛(まな)ちゃんが突然姿を消してしまい私たち愛ちゃんと親しかった者は、しばらくの間、なすすべもありませんでした。愛(まな)という名前を付けられたご両親、毎年必ず来廊下さったお兄様等ご家族のお気持は想像に難くありません。
まだ20代の前半から本当に毎年、まなちゃんが教えている大学のお休みに合わせての9月の第一週目は、まなちゃんの個展の一週間でした。最初はまだ学生で、京都在住のまなちゃんは宝ケ池プリンスホテルで皿洗いのアルバイトをしながら個展を開催しておりましたが、優秀な作風が認められ、デザインの専門学校や大学の講師として招かれる様になりました。そればかりか、元々なかったシルスクリーン科を学校に作らせてしまう実力の持ち主でした。
まだ学生だったまなちゃんと、初めてお会いした時に見せて頂いた作品の完成度の高さに驚いた事が昨日の事の様に思い出されます。
通常、シルクスクリーンのテクスチュアはしっかりとした色味どうしの平面構成的なものが多いけれど、まなちゃんの作品画面は見た事のない感覚と透明感とが見る者に目を見開かせてしまうのでした。
特に、大きな画面に遠くまで広がる空、いろいろな表情を見せる雲や、山々、樹木等の自然を、柔らかく、時に激しく描いた作品には、大きく心打たれるものがありました。
昨年も一昨年も病に打ち勝って、元気に個展を開催しました。今年も画廊の5月のグループ展BOX OPERAでは、キュートな作品を出品されたばかりでした。
7月5日に京都で行われた告別式では、多くの方が詰めかけて会場に人々が入りきる事ができませんでした。若い方々が愛ちゃんとの別れを惜しみ哀しまれている様子に胸を打たれました。
画廊では、まなちゃんと京都でお会いする約束をしていた、というグラフィックデザイナーの方が呆然とし、また別のアートディレクターで公私ともに親しくされていた方は何日間かショックで寝込んでしまわれました。
今、スペースユイでひとつとても楽しみにしている素敵な仕事のお話があります。緑も水も豊かな雄大な自然環境の中で、多くの作品を発表する、というプロジェクトです。その企画の出品作品の中にまなちゃんの風景を描いた作品を、と申し上げた所、ありがたい事にプロデューサーの方もその様に考えておられたとの事でした。心から実現を望んでおります。その方とは以前にも或る新雑誌の表紙を決める時の候補にまなちゃんの作品を推薦して、実現一歩手前で他の方に決ってしまったという経緯があります。
たくさんの方々が、変わる事なくずっとまなちゃんを見守り続けておられることを感じております。
また、告別式の帰りの新幹線から見えた空の景色は雄大この上なく、語りかけて来る雲の有様は、壮大な神々の舞台の様でした。こちらでのまなちゃんは引き受けた!と天の神から告げられた様に感じました。
MIZUMARU ANZAI SUMMER EXHIBITION 2016
安西水丸さんの個展を無事終了する事ができました。今回は、画廊の抽き出しの中からひょっこり現れた「レモンとコカコーラ」の作品をテーマにした展覧会でした。爽やかな気持の良い作品を発表する事にしました。今までは、小品や色彩が鮮やかな作品展が続きましたが安西水丸氏の真骨頂と、私が勝手に思っている空間を感じさせる画面、緊張感と緩やかな感覚が一瞬交差するような画面を皆様に感じて頂けましたらと思いました。
水丸さんがいらっしゃらない今、本当に気を付けて作品を作らなければならないと思っております。画廊では、もう新作の発表というのは不可能かも知れませんので、今回は復刻も含め、名作と感じる作品ばかりを作らせて頂きました。
また、グッズの制作では今回「カバ」のTシャツを20年ぶりくらいに復刻致しましたが、思いのほか大人気です!スイカと女の子のシャツも版画から取りましたが、記憶に残るものとなりそうです。
折から様々な場所で催しの開催される期間でした。京都の伊勢丹の美術館「えき」でも、水丸さんの大規模な展覧会が開催、大好評でした。こちらの作品群の中では、30パーセントくらいでしょうか、スペースユイで作成した作品が展示されており、他の作品も存じ上げているものも多く、今回は自分のところの準備、開催とも重なるので、京都行きを最後まで迷っていましたが、田村愛さんの告別式に出席するため、水丸展も見る事になりました。
水丸さん、いつこんなにお仕事をされていたのですか?と思う程、たくさんの作品が展示されていました。知っている、と思っていたイラストレーション等、ほんの一部だったのですね。
また、今回の個展に間に合う様、初期の頃のシルクスクリーン作品を中心にした美しい作品集も出版されました。(写真)
http://old.spaceyui.com/schedule/anzaimizumaeu_16.html
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