小山春子さんの刺繍の作品画面からは、ポジティブな清潔感溢れるエネルギーが発散されていて、観る人々を立ち止まらせます。
作品のキャンバスである純白な麻布などが醸す品格のあるエネルギーは、布に刺された糸やビーズによる視覚的なテクスチャアを伴って、穏やかに空間に伝播して行くかに感じます。
丁寧な手技の作業が積み重ねられ、深遠な世界観へと繋がる感覚が軽やかさに変換されていたり、また小さな身近な物を描いたイラストレイティブな傾向の作品等はポップな楽しい印象ですが、静かに祈りへと繋がっている感じが致します。
オイルペインティングの作品が、作家の思いの込められた一筆一筆のタッチから完成へと向う様に、小山さんの刺繍の作品は糸やビーズのアタッチメントの集合体が一枚の作品を創り上げますが、 刺繍という表現形態には、独特な時間的なリズム感があると思います。小山さんの作品の刺繍糸の一針一針に、日常の生活に根ざしたデザイン的な楽しさや、もう一歩踏み込んだ世界観への表現など、クリエイティブな眼差しが込められている様に感じられ興味が尽きません。
http://old.spaceyui.com/schedule/koyamaharuko_19.html
yoshiko・h・abe
このお二人は、デビューが当ギャラリーでした。
yoshikoさんは、小さなギャラリーに良く訪れて下さるお客様でしたが、本当に誠実な真っすぐな方で、私の仕事がひとりでは立ち行かなくなった時にぜひいっしょにお仕事をして欲しい、と思わせる方でした。
そしてそれは奇跡的に実現!しばらく一緒に楽しくスタッフとして働いて頂きましたが、すぐにイラストレーションの仕事が忙しくなり、独立して行かれました。
自由な、そして空間とコミュケートしているかの様な作品には、物質と精神との不思議な親和感といった、人々の興味が絶えないエネルギーを提示していると感じます。
高林麻里さんもオリジナルなスイートな色感と表現力とで、人のこころを掴む作品を次々と生み出しました。ギャラリーでデビューした時と作品も個性溢れるご本人の性格も少しも変わらない事がしみじみと懐かしさを誘いました。ずっとうん十年もNYで暮らしていても、当時の天真爛漫な感覚のままの麻里さんに、ある種の感慨を覚えます。
20代の頃のお二人がギャラリーで出会い、東京とNYに離れていても仲良しで、ステキに年齢を重ねられ、ずっと温かな親交を深めていらっしゃったご様子が伺われます。
その様なお二人の2人展は賑やかな楽しい会期でした。
Mari Takabayashi
http://old.spaceyui.com/schedule/mari-takabayashi-yoshiko%E3%83%BBh%E3%83%BBabe.html
実に10年ぶりとなる金沢和寛さんの展覧会「さくらの花、咲いた日に」は、いろいろな意味で密度の高い展示でした。
作品を見た方々は、金沢さんの手によって創り出された少年少女たちや動物たちの可愛らしさにまずぐっと引き込まれて行かれ、実物のオブジェから発散される優しく懐かしいそよ風のような味わいに、気持が和らいで行くのが感じられます。
桜の季節にふさわしい風景や樹々、人々や生き物等のモチーフを、紙をくり抜き、カットしながら構成していく気の遠くなる様な緻密な作業は、それだけでも敬服に値するものですが、それらの誠実な技術的な側面が相俟って、作品に更に力を加えている様に思われます。
木漏れ日の下でペットの犬と昼寝する子供たち、そばに置かれたサンドイッチや飲物の水筒等、また紫陽花の花壇脇を駆け抜ける少年や、中央に何万枚もの小さな花びらを持つ桜の樹がある小さな広場等・・・・。金沢さんの手によって創り出された世界からは、人々に共通する郷愁の感情を呼び起こすパワーが溢れております。
金沢さんの、驚異的な根気の要るアートワークは実際にたくさんの時間が必要とされ、簡単に開催できるものではありませんが、また新たな作品の展示を皆さんが望まれていると感じております!
私たちが何気なく生活している中で、植物が地球上に生息する全ての生き物や環境にどんなに貢献してくれているかという事、対人間に取っては更に不思議な関係性としての存在を、最近あらためて感じております。実はSPACE YUIにはYUI DROPSという小さなアロマテラピー製品部門があり、日常使用のフラワーウォーターやサプリメント、またミステリアスな背景のある魅力的な製品等、厳選したアイテムを取り扱い、リピーターの方々から好評を得ております。 また、YUI DROPSはメイムプロダクツという発売元と20年に渡り業務提携しており、オーナーの前田由美子氏が実際に世界中を回り、植物の持つ本質的な力の存在を把握され驚異的な直観力で、数ある製品の中から最高品質のアイテムをチョイスし、日本に紹介して下さっています。 以前はしばしばアロマテラピーをテーマに、花々や植物の作品展を開催しておりましたが、今回は本当に久しぶりの展覧会となりました。
参加作家の方々には、バラやラベンダー等の香り漂うギャラリー空間に、クオリティーある花のように香り高い作品を展示頂きました。
この企画展は、皆様に少しでも、楽しみながらお元気になっていただきたい!という希望から出発致しました。
また、出品者のお一人に薬剤のプロフェッショナルの方がおられ、最終日には薬と植物との関係性についての興味深いお話を伺う事ができました。レクチャーをして頂いた足立もえかさんを囲んだ貴重な楽しい時間でした。
芳香製品のアイテムラインアップはYUI DROPS独自のもので、どちらかというと美容よりも健康よりのチョイスです。
自信を持ってお勧めできるものばかりを揃えておりますので、ギャラリーの小さな棚に並ぶ小瓶の香りを、ぜひお試し下さい。
札幌の民野宏之さんに続き、函館からの堂前守人さんの陶器の展覧会が開催されました。
堂前さん、民野さんと北海道の作家さんお二人ですが、画廊ではすっかりおなじみの作家さんとなりました。
陶器本体を作陶され、絵も描かれる堂前さんの陶器は見応えたっぷりです。
様々な器に堂前さんの個性が際立つ花々、草や樹木が映されていて、画廊空間全体が堂前さんの世界に彩られます。
決して明るく楽しい彩りばかりではなく、滋味に満ちた味わいのある作品が主体ですが、使ってみて初めて感じる部分の発見も楽しい、手応えある作品です。
ずっと展示を待っていて下さる 、大人っぽい感覚の渋さに引き付けられるファンの方々が多く、堂前さんの人気を感じております。
絵描きがキャンバスに向って絵を描く様に、土を造形し、絵を描かれ、更に窯で焼き上げるというたいへんな作業を静かに粛々となさっている堂前さんの姿勢に、敬意を表さずにいられません。
今年の民野さんの作品は風景画がテーマでした。
今回の個展では、開けた雄大な空と山々と大地の連なる人気のない幽玄な気配さえ感じる風景、人の住む気配といっしょの風景や、むしろ都会の感覚も混入する風景等、様々な顏を持つ風景画が楽しめました。
昨年車の免許を取得された民野さん、きっと来年は北海道の風景を描いた作品が多くなるのでは?と想像していましたが、その通りになったようです!
北海道だけでなく、東北の奥会津地方の絵も多く描かれ、それぞれに特色のある美しい風景が心に迫ります。只見川の川霧の煙る絵や静かな川沿いの集落の作品等は民野さんの世界観を彷彿とさせる詩情豊かなものでした。
作品画面の山や森の緑、川の水の流れや空のブルーの色、大地の色のハーモニーで、都会とは思えない清涼な空気感がギャラリー内を気持良く流れておりました。
また、今年はたくさんの水彩画が展示されましたが、これも免許取得後の車でのスケッチ旅行の賜物でしょう。水彩の小品は小さなBOX型の額装が魅力的でした。
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