鹿児島在住の高岡栄司さんから個展開催のお申し出があった時、とても不思議な作品!という印象が強かったです。
どこかで見たような、そしてどこにも存在しないようなオリジナリティ溢れるメッセージ性豊な作品を創る方は、一体どのような方なのだろう?真っ直ぐで純粋でちょっと頑固な方なのだろうなと想像致しました。
東京では個展を開催したことはありませんが、金沢やロサンゼルスでの個展開催ではとても人気な様子をフェイスブックで拝見しました。
金沢での展覧会には21世紀美術館館長が訪れたり、金沢の作家さん仲間たちと談笑されている、とても雰囲気の良い投稿写真がたくさん掲載されています。ロサンゼルスでも高岡さんが好意を持って受け止められておられることが感じられます。
鹿児島に住われて、金沢の大学で彫刻を学び、ロサンゼルスでも作品を発表される等、都市空間との関わり方も高岡さん独特の、必然と偶然の不思議さを感じております。
高岡栄司さんの木彫作品は、独特の世界観で表され、見るものの想像を誘います。人々が日常で用いるスプーンやメガネ等のオブジェと共に、全ての作品に坊主頭の男の子の頭部が表現されています。
人形の顔に胡粉を刷かれた様にすべすべの質感の頭部は、多少の不気味さを孕み色々な感情が表現されています。怒りの表情、また白塗りの身体表現である舞踏の世界観を彷彿とさせるようにも思えますが、何だかキュートさも感じて参ります。
今回、東京での初個展でしたがコロナ禍という事もあり、高岡さんは搬入の後すぐに鹿児島に戻られ、金曜日と最終日の土曜日しか在廊できませんでしたが、作家の目の前で活躍中のアートディレクターの方に作品が売れたり、遠くから大学時代のお友達が見えたりと、とても好評でした。
全日程を在廊される事はできませんでしたが、ピュアな優しい人柄の高岡さんをもっと皆さんにご紹介したかったと、少し残念な思いです。
高岡さんに面白い文章を書いて頂きましたので、ご紹介させて頂きます。
↓
スーツケースをぶつけながら東京へ着き、道に迷いながら汗だくでギャラリーに到着。作品の設置を済ませると、また迷い、ぶつけながら鹿児島に帰った。展示が終わるころ同じことが繰り返され、今、鹿児島にいる。
学生の時も夏休みに入ると次の日には鹿児島に帰っていた。
「有料ですか?」と恐る恐るギャラリーに入ってこられる方がいた。いくつかの作品の前でじっと立ち止まり、足早にギャラリーを出て行かれた。「これいいね」とザっと作品を見た後、作品を購入してくださる方がいた。
10年ぶり、20年ぶりに会う友達が来てくれて作品についての感想をもらった。
鹿児島の実家でコツコツと作品を作っている。展示の日時が決まると制作のペースが上がり、展示がないときはアルバイトをし材料費を稼ぐ。東京で個展をしたいなぁとギャラリーを探し始め、space yuiの木村さんの写真を見てメールを送ることに決めた。木村さんはどんな方だろう?「あの顔がきらい」、「芸大に落ちてよかったわね」、「すが」とおっしゃられていた。メジャーを片手に、頭に赤い玉の付いたピンを片手に、あっという間に作品の設置場所を割り振った。作品の価格もあっという間に決めた。励ましてもいただいた。
木村さんのような方がいなければ私は作品を発表できなかったかもしれない。ギャラリーで働く御二方も、少し戸惑った表情を見せながら(マスク越しですし、主観です)も丁寧な対応をしてくださり、ギャラリーの皆様に感謝しております。
見に来てくださった方々、いつも気にかけてくださる方々ありがとうございます。
私は作品を作り続けるだろうと思っています。少しでも良い作品を見てみたいです。
高岡栄司
http://old.spaceyui.com/schedule/eiji_takaoka2021.html
2021年夏の安西水丸展では、村上春樹氏との共著である「ランゲルハンス島の午後」をテーマとした作品を版画として制作致しました。
現在から遡って37年前の作品ですが、お二人の息の合った若々しいお仕事ぶりが感じられる、楽しく感動的な作品ばかりでした。
「ランゲルハンス島の午後」の原画は、時が経ち味わい深い感触がありましたが、版画を制作するための原稿ではありませんでしたので破損された部分も多く、版画に創り上げる事が果たして可能なのかと思うくらいでしたが、版画工房の感覚と技術により驚くほど美しく再現されたと思います。
水丸氏の初期の頃からシルクスクリーン制作をお願いしていた360°GRAPHICSは、海外の活躍中のアーティストのオファーも殺到する、現在では予約も困難な人気の工房です。
常に版画の新たな可能性を探りながら制作されている360°GRAPHICSに於いて創られた作品は、水丸氏の持ち味を限りなく生かすことに成功していると思います。
技術の進んだ現在では以前とは変わり、ジークレープリントの上からシルクスクリーンインクを刷って完成させるネオ・シルクスクリーンという技法を用いて版画を制作しております。
これからは、水丸氏の版画をお買い求め頂いた方への保証書には、画廊の箔押しスタンプと共に工房のスタンプも作品補償として箔押しさせて頂く予定でおります。
本年は、世田谷文学館、三軒茶屋キャロットタワー生活工房、山陽堂、と水丸氏の作品同時開催の展示が賑やかに重なりました。
世田谷文学館では、9月20日まで開催しておりますので、水丸氏の仕事の全貌をぜひご覧下さい。
また、安西水丸 版画展「ランゲルハンス島の午後」の開催にあたり、村上春樹さん、水丸氏のご家族、版画工房、そして常に変わらず応援下さる水丸ファンの方々に大きな感謝を致しております。本当にありがとうございます!
http://old.spaceyui.com/schedule/mizumaru_2021.html
天野智也さんの今年の個展タイトルは「color」。
タイトルの通り、備前焼き陶器の多彩な側面を垣間見させて頂きました。
日にかざすとブルーに光って見える茶碗やいぶし銀のような渋い色彩の物、白っぽい物や赤土の感触をそのまま生かした器など々・・・。ギャラリースタッフもお客様と一緒に備前焼き陶器の「color」を存分に楽しませて頂きました。
もしかしたら当画廊の長寸方向のサイズより大きいかも知れないご自身で作られた天野さんの登窯は驚く程大きく、窯に火をかける時の置き場所によって、器の色や表面のテクスチュアに様々な変化がつくのだそうです。
釉薬を全く用いていないのにツヤツヤしていたり、また逆に岩肌のような仕上がりになるのも、作陶への絶え間ない探究心と経験失くしては得られない事ですね!
今回で14回目となる天野さんの個展でしたが、回を重ねる毎に評判を呼び、お客様が増えていきます。個人のお客様と一緒に、青山界隈の和食のお店の方々が多くいらっしゃるようになりました。とても気持ちの良い美味しそうなお店ばかりです。
一流といわれるお店ばかりの様にお見受けし、検索して、天野さんの器を拝見するととても嬉しい気持ちになります。
また、若いお客様がそっとひとつ買われて行かれるのも、良い感じです。
天野さんのお人柄を反映するかの様な、シンプルで力強くそして温かさの感じられる陶器はそうそうありません!
http://old.spaceyui.com/schedule/amanotomoya_2021.html
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