2015.11.13:金曜日
卯月俊光展 2015

 

 

       

 

 

 今回の卯月光俊さんの作品は、何かが大きく変わった感がありました。様々な技法を自分のものになさって、卯月さん独自の作風をつくりあげ構成した作品には風格が滲み、空間の奥行きと見られるものが加わって、作品の力をとても強く見せているように感じます。

作品の裏側からも絵筆で描き込むことにより、輪郭線の味わい深さをはじめとする表面からの作品の見え方を、鏡を使ってお見せするプレゼンテーションが、とても素敵でした。

卯月さんの作品のコンストラクションといったものを、作品表現そのものとして見ることができ、もうひとつ楽しみ方を発見したのでした。

また、そのような事がらとは別に、空間に展示された作品全体から発せられる場の力を感じたのですが、今迄より更に技術力を深めた卯月さんが、自身の作品の中に自由な技法空間を発見なさったのかも知れません。

伝統的な表現手法と現代的なグラフィックな感性が結びつき、富士山や太陽や月や星がとてもシンンプルに和のテイストで描かれる作品は、とても洗練された大人の世界観と感じておりましたが、これらの卯月さんの作品が幼児向けの絵本になることが決まりました。出版社の方の慧眼に、敬服いたします!まだ無意識に生きているかの年令の幼児に卯月さんの作品を見せるという感覚をとても面白く感じ、新たな目を開かせて頂いた様に新鮮な思いです。

魅力的な作品、そして本を来年の秋にも見られる予定ですが、大きな潮流になって行くのでは?と今から期待が膨らみます。

 

 

 

 

 

 

http://old.spaceyui.com/schedule/utsuki_15.html

 

画廊では、特に親しくさせて頂いている絵本の会社や広告等に関する会社のセクションがいくつかありますが、福音館書店等はその筆頭かも知れません。

子供の年令や各セクション毎に分かれているいろいろな部署の編集の方々にDMをお出ししておりますが、福音館だけで○十人に上ります。皆さんそれぞれに良いお仕事をなされる方々なのでとても光栄に思っております。

今の時期、「画集」そのものの発行が稀なものになってしまいましたから、絵本がそれに変わる価値を持っている様にも思います。画廊では、本当に数えきれないくらいの方々の作品を本という形に残して頂き、感謝いたしております。

特に長い期間に渡りお世話になり、親しくさせて頂いている方の自由なお仕事ぶりには頭の下がる思いです。抽象画や素人目には大人の感性にしか見えない作品も、こだわりなく子供の世界に加えて下さるのです。このような方々の尽力がなかったら、絵本の世界はもっと面白みの乏しい淋しい世界になっていたのではと思います。

子供の脳内の事は自分の認識内に於いては遥か遠いのですが、宇宙のどこかから生まれて来る命に老若の差の巾は、人間が考えている程にはないのかも知れません。

 

 

 

 

 

 

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