山田博之「切り絵・のような」
大らかに生命力溢れる山田博之さんの作品には、いつも驚かされております。
今年は展覧会の直前に、物理的にも精神的にも大きなエネルギーを要するお仕事の依頼がありました。屋外でのかなり広いスペースの壁画制作です。普通は体力を消耗してしまうところを忙しさ迄上手にご自身のパワーに転換できてしまえる方なのだな~と感心しきりです。
今年3回目となる山田さんの個展でしたが、会期毎に作品の傾向が異なります。普通、作品の内容やパターンが違うと、一貫性がなく、抽き出しが多すぎるのでは?という疑問が生じますが、山田さんの場合には、どのタイプも不自然な感じが全然なくて、納得させられてしまいます。頭で描いているのではなく、心で描いていらっしゃるからと思います。
あたかも自動筆記の様にアルファベットをモチーフとして描かれた紋様の作品に魅き付けられ、山田さんを知りましたが、案に反してと言いますか、むしろ当然と申し上げるべきなのでしょうか、頭脳的戦略的な作品構成力を見せつけられ、重層的な才能と力量に驚かされ続けているのです。
次にはどんな新しい顏を見せて下さるのでしょうか?山田博之さんの謎めいた秘密の抽き出しには、まだまだ魅力的な宝物が隠されていると感じます!
http://old.spaceyui.com/schedule/yamada_16.html
木村かほる「 CONSTRUCTION」
妹の制作風景には日常的に接していますが、作品は完成する迄は見せてくれません。
いつも、スケッチブックにぐるぐると丸や三角や四角を色鉛筆で描いていて、その作業がどうも彼女の理性の部分のアートワークであり、下描きらしい、という事はわかっております。
その様な理性的な構成の作業と、直観的な捉え方とが上手く呼応できた時に、ペインティングに移行する、という風です。
そしてその感覚が常に持続し、完璧な仕上がりになると良いのですが、もう一歩、二歩、というところでしょうか?
妹は油絵学科を卒業してから50冊程絵本や児童書の仕事をした後、何故かきっぱり絵本関連の仕事を止めてしまいました。
彼女の初仕事だった「大きくてもちっちゃいかばのこカバオ」を読んで育った女の子が立派に成長し、本屋さんの優秀な店員さんになりました。その方の尽力もあって「大きくてもちっちゃいかばのこカバオ」が30年ぶりに風濤社より復刻されました。
かばのこの件では、不思議なサーキュレーション的なご縁を感じてなりません。風濤社を初めて知ったのは、建石修志さんの美しい作品集や書籍の装幀が最初でした。また、家にあるシュタイナーの本も目にし、建石さん、シュタイナーのラインに何故カバオ君?と素朴な疑問が生じました。
個展には、風濤社社長の高橋さん等と小さな時から画廊のお客様でもあり立派に成長された女の子、兼森理恵さんも一緒にお見えになりました。高橋さんからは妹の個展の作品についてもシュタイナーの黒板絵に通ずる等と過分な批評を頂いたりして、カバオ君とシュタイナーとの関係にあらためて感じ入りました。また更に、風涛社のhpには、シュタイナーとニーチェに挟まれてカバオ君が掲載されており驚かされます!
木村かほる 個展「CONSTRUCTION」の会場に置いた自家製の本の中の、もうひとつのキャラクターもとても人気でした。妹のスケッチブックの隅っこのいたずら描きに時々ふと心安らぐものがありますが、そんないたずら描きがひとり歩きしてくれる日が来るかも知れません!
風濤社ホームページより
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