2018.12.18:火曜日
左合ひとみ Rebonjour – The Planet Wishes for Peace

 

 

 

活躍中のグラフィックデザイナー、左合ひとみさんの個展 Rebonjour – The Planet Wishes for Peaceが開催されました。

今年、グラフィックデザイナーとして独立30周年をむかえられた左合ひとみさんによる、 現在起きているさまざまな地球を取り巻く環境に思いを馳せる展覧会でした。

今回の個展を開催するに当たり、作品の意義深いコンセプチュアルな方向性はもちろんの事、作品の展示方法や照明器具の設置等につきましてもトータルに考慮され実行される左合さんと接し、第一線に立つ素晴らしいプロフェッショナルなグラフィック デザイナー、アートディレクターとしての姿勢、立ち位置を感じさせられました。

今回展示された1月から10月までの10テーマに分けて表現された箱とポスター(ポス ターは9テーマ)は、左合さん独特のレーザーカットの技法により、3.11、9.11、原爆投下や海洋汚染、動物虐待等といった現在地球上におきている問題を、熟考された真っすぐな眼差しで表現されました。

我々人類にとって共通の重い課題をグラフィックデザイナーとして平面作品で端正に誠実に提示されたと感じております。

画廊では左合さんの作品を鑑賞し、共鳴する人々の声が聴こえ、同じ思いを抱いていても表現の場を持たない多くの人々の共感の思いが感じられました。

箱のデザインをほぼそのまま拡大したものがポスターとなりますが、両方の作品に印象的なカタカナで書かれた短い文章が添えられていて、言葉の持つ力がビジュアル表現をより理解しやすくコミュニケーションが取れやすいものにしたのではないかと思います。

今回の展示では、飯田有貴さんが様々な場面で左合さんをバックアップされ、全ての平面作品に素敵に精査され表現された文章も、お二人で創られたものだそうです。

左合ひとみさんからの文章を下記にご紹介させて頂きます。

独立30周年を迎える今年の抱負は、20年ぶりとなる個展の開催でした。これまで磨いてきたこと、ふだんの仕事ではできなかったこと、新たにやってみたいことなどを考えながら、愛犬ココと散歩する日々が始まりました。

コンセプトが社会的な方向に動き出したのは、長年の親友である飯田有貴さんとの対話からです。3.11の東日本大震災のあと、無力感を感じながらも、JAGDAの委員会活動などを通して、復興へと向かう人々の姿に感動したことを思い出しました。

有貴さんとは創作のパートナーとして一緒に深く考え、話し合うようになり、3.11、9.11、8月の広島・長崎の原爆投下から始まったテーマは、日頃感じていた環境汚染や動物、子どもの問題などへと広がっていきました。

凄惨な場面を突きつけるのではなく、拳を振り上げるのでもない表現で、地球が望んでいることをかたちにしていく。再生してまためぐりあうことを意味する「Rebonjour」という言葉と「The Planet Wishes for Peace」が有貴さんから出てくると、ビジュアルのラフは大きく前へと進みました。

日常の仕事と並行しての創作活動はまさに時間との闘いであり、最後は睡眠を削りに削って搬入に漕ぎ着けましたが、その結果、これまでとは異なる地平に立てたような気がしています。ここで終わらせずに考え続けてみたいテーマになりました。

今回の展示をいちぱん見てほしかったのは、四年前の秋に他界した伴侶です。社会への問題意識がとても強い人だったので、地球の現実と向き合う創作を喜んでくれていることでしょう。「Rebonjour」と彼に向かって言える個展でこの年を締めくくることができて幸せです。

ご協力いただいたみなさま、ご高覧いただいたみなさまには、心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。

                                                                         左合ひとみ

http://old.spaceyui.com/schedule/hitomi_sago_18.html

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