2019.05.17:金曜日
越智香住 phantasm

 

 

 

 

本年で6度目となる越智香住さんの個展のタイトルと作品資料が送られて来た時には、ずっと越智さんの作品に注目していた自らにとっても、ひじょうに深い感慨を覚えました。
「phantasm」というタイトルには、越智さんの作品の真髄に触れる部分があるのではないかと感じたのでした。
もち論、越智さんの作品には幻想的なテイストがあり、この時空間から離れ浮遊しているかに見える感触を皆さんが感じられていたと思います。
しかし、今回は全面的にテーマとして提示される事となる越智さん独自の世界観ともいうべき「phantasm」を、多少の恐れを含む興味を持って期待しておりました。
搬入の荷ほどきをして行く程に、作品の持つその曰く言いがたい幽玄ともいうべき見え隠れする持ち味が最高に生かされた作品の数々に驚かされたのでした。それらの作品は、楽しい気分やひょうきんな味わいさえも伝搬する、造形力の確かさに裏打ちされた素晴らしいものでした。
私たちは、どうしても常日頃のあれこれや重さに引きづられがちですので、そんな日常的な引力を飛び越えた作品を見せられると、心打たれるのだと思います。
元来から人里を離れた標高高いアトリエにて、ストイックに土を捏ね、鋭い直感的能力(直感以上?)で以って力強い彫塑を制作されている越智さんからのメッセージは独特の魅力で観客の方々に語りかけているのではないでしょうか。
展覧会にお出かけ下さる方々の多さに驚くと共にお客様の、作品に向かって下さる興味の深さにも感動を覚えました。作品について多くを語って下さらない越智さんですが、全ての作品からとても雄弁にクリエイティブな感覚の波が流れ出て作品を見られる方々に確実に伝わっていることが感じ取れました。作家、観客の双方にとっての幸せな瞬間を見せて頂いたと思います。

今年も、昨年に続き更なる大活躍の石田ゆり子さんとそのお友達やスタッフの方々がお見え下さり、応援を頂きました。越智さんの作品をご理解頂き、ご愛顧下さることに、この場をお借りして感謝を申し上げます。

 

 

 

 

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