宮本崇輝さんが、扱いの難しいガラスという素材と向き合いその特徴を生かした美しさを追求して行く姿勢は、あまりに自然なので画廊を訪れる人は無論、道を歩きながら作品を目の端に捉えた人々にも伝わって行くのを感じます。
どのような所でどのような直観を得て制作に至るのか、作品ができあがるまで自分が経て来た道のりがどのようなものだったかを何方にも平等にお話しされる宮本さんの純粋な姿が多くの方々の心を打つように思えます。
昨年に続き、作品の中に込められた自然界の情景を映した、透明なガラスと海辺の砂浜や岩肌を感じさせる素材感の対比のあざやかさに、静かに圧倒されて行きます。
今回の展示作品では、あらためて宮本さんの作品の持つ力、そしてその力がすーっと人々に伝わって行く光景を見せて頂きました。
小さなオブジェを手の平に乗せた時の優しい感触と、キラッと輝きのある透明感が一体となった感覚に、親近感を感じて下さる方々が多かったのではないでしょうか?
27〜8才の頃から展示をして頂き、30代も半ばに差し掛かった今、まだまだ大きな可能性を秘められた宮本さんです。作品制作に一途な、そして謙虚な宮本さんのありのままの感じを、そのまま皆様が感じ取って下さる事を、たいへん嬉しく思います。
今回、宮本さんが作成されたとても自然体な、皆様へのご挨拶の文章を掲載させて頂きました。
↓
吹きガラスで作品を作る。
窯の中で溶けたガラス。
ドロドロととても柔らかい。
時にまるで生き物の様だ。
ガラスにボクは近づく。
作品になれるよう手助けをする。
手を出し過ぎてはいけない。
手を出さな過ぎてはいけない。
良い塩梅。
ガラスとの距離感。
ガラスとの対話。
偶然と必然。
ボクとガラスの共同作業。
単なる素材だったガラスは作品へと成長する。
するとガラスは記憶と繋がり、無限に広がる。
なだらかな丘。
水平線。
海の中。
雪景色。
紅葉の山。
はっきり何かとは分からない。
だからガラスは無限に広がる。
ガラスとの距離感。
ガラスとの対話。
ボクとガラスの共同作業。
宮本 崇輝
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