竹井千佳 きらきらブルー
元気に現代を生きる当代女子を描いたら、右に出る者はいないのでは、と思わせる竹井千佳さんの作品展でした。ご本人がすでに絵の中から出て来た様な佇まいです。
しかし描き出す世界は視野が360度。可愛らしい女の子の表情の中にも、苦かったり、醒めた眼差しがあり、イタズラッ子のキュートさが、あったりと・・・。
描かれる作品の個性が個々の人物の中に凝縮されていたり、ひとりの中に併存していたりと、鮮やかな色彩のポップなカワイイ作品の中に、何とも味わい深い包容力が感じられます。
今、伸び盛りのご自身の仕事では、その舞台は通常のイラストレーション媒体を超え、自由に軽やかに羽ばたきます。
最近のお仕事、NHKの番組「ガッテン」では、番組全般に散りばめられた千佳さんのイラストレーションと軽やかななヴィジュアルデザインが楽しめます。
その他の仕事でも哀愁漂うおじさん、そして少女達から、カワイクもしたたかな女の子の表し方まで、守備範囲の広さと感性の懐の広さには、本当に驚かされます。
また、作品画面からは、鮮やかな色彩を抑え気味に表現された日本画的な繊細な風情も感じられる等、多面的な魅力をたたえた竹井千佳さんの作品展でした。
以下は、竹井千佳さんの文章です。
今回の個展は時期が梅雨の時期で紫陽花も綺麗なのでブルーで会場を埋めたくなったのが始まりでした。
正直、制作時間があまり無かったので考える時間が無かったのですが、それがかえって今まで積み重ねてきたものを素直に表現できたと思います。
お越しいただいた方にも喜んでいただけて、改めて自分がこれから何を描いていくべきか気付かされました。
今後もワクワクする作品を作っていきたいと思います。
http://old.spaceyui.com/schedule/takei_16.html
あずみ虫 「恋愛小説」
今年のあずみ虫さんの個展「恋愛小説」では、軽妙な鮮やかな色彩は常ながら、あずみ虫さんの新しい側面を見せた作品がギャラリースペースを充たしました。
薄いアルミ板をカットし着彩する作風は、その技法の結果として抽象化や省略化されたシンプルな顏が表れるように感じます。その様な技法にエロスの世界を載せての表現は、存外に適っているかも知れません。作家のエッジの効いた挑戦が軽やかにポップに切り取られ差し出されます。
あずみ虫さんの師であった水丸氏がそうであった様に、一人の人の中に秘められた様々な側面である、エロティシズムも可愛らしさや爽やかさもそれぞれに表現、まるで何人かの人格が一人の中に矛盾せず存在するかに思える個性は、お二人に共通するかも知れません。
生前、エロスの作家と自らを称した金子國義氏を尊敬する、というあずみ虫さんは、今回の展示で大きくひとつの方向性を見せて下さいましたが、今後の展開が増々楽しみです。
金子さん、本気か冗談なのか、いつでも巻頭句の様にプレスリリースのお名前の前に「エロスの作家」と、書かされた事等思い出します。
http://old.spaceyui.com/schedule/azumimushi_16.html
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