卯月俊光さんの今回の展覧会の作品は、以前から更に空間の広がりを感じさせられました。
初めてのモチーフである、万華鏡をのぞいた時の様な驚きに満ちた360度に広がりを持つ画面の大きな作品もひじょうに興味深く、人々の注目を集めた作品でした。数学が得意だとおっしゃる卯月さんの言葉に、今作品の胎動の神秘に触れる感慨をもたらされました。
また卯月さんがつくりあげた、画材ではなく染料を用い金箔や銀箔などを置く伝統の技術を駆使した独自のスタイルを持つ作品も、今回は以前に増して植物や花、空気、水の気配さえもが生き生きと、生命力に溢れたエネルギーを感じました。
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平野恵理子さんが19年間暮らした青山の町と、様々なモチーフを描いた展覧会でした。
平野さんの住居であった建物の様子や様々な季節の町の情景を端正な筆致で描いた作品は、静かな気配をたたえて見る人の共感を呼び覚ましました。
小品は、平野さんの自然を愛でる眼差しを感じさせる小さな木の実や、さり気ない植物や身の回りの品々を魅力的に描きました。完成された平野さん独自のプロフェッショナルなスタイルでした。
http://old.spaceyui.com/schedule/hirano12.html
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島袋千栄さんの個展、Animal Girls Collection 2012は、可愛らしく不思議な雰囲気漂う味わい深い展覧会でした。
可愛らしいお母さんが作ってくれた風な洋服を着る女の子たち。動物に託したそんな女の子たちを見ていると、島袋さんの優しい視線に気づかされます。良く見るとちょっぴり妖しげなミステリアスな子もいるのですが、総じてどんな子も気だてが良くてお茶目です!
島袋さんは、つい最近まで長い間画廊スタッフとしてもサポートして下さっておりましたが、あの女の子たちそのままに、毎日が笑いに溢れていました。
今年は絵本も出版(わにのだんす)、お仕事関係の様々な方々も見守って下さる中、次回の展開が早くも気になります。
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毎年開催されるシーノ・タカヒデさんの今年の作品展、今年も好評でした。アフリカ、高知、東京と、移動の多い生活をなさり、ペインティングやイラストレーションの制作を続けるシーノさんは、様々な土地で体験して得た世界観を作品に体現しており、力強くしかも軽やかな作風には定評があります。
特に今年は、鮮やかな色彩のそれぞれの作品がバランス良く、独特のハーモニーを奏でていた様に感じられました。
これから画廊の企画として神話シリーズの第二弾がスタートするのですが、アフリカの大地の空気を身体いっぱいに携えたシーノさんと、アニミスティックな動物達の肖像を真っ先に思い浮かべました。
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西ドイツ滞在等を含んだ生活の環境変化の期間を経過し、様々な体験を通して実現されたたかおゆうこさんの7年ぶりの展覧会でした。color garden というタイトルにふさわしく、やや大きめの作品からは植物や花の香りが漂って来る様な迫力がありました。
絵本の世界で活躍中のたかおさんは、多様な画材でいくつかの画風をご自身のスタイルとして確立しておりますが、今回の展覧会でメインに置かれた抽象的な水彩画は、今までのたかおさんを知る人々を驚かせました。
自由にのびのびと描かれた抽象的な画面は、隣り合った鮮やかな色彩が響き合い透明なひかりに溢れています。直線的なグラフィカルな画風は心にすっと入って来ますが、とてもオリジナルな表現であり、空間から醸成される心地よい空気感を皆が共有したように感じました。
http://old.spaceyui.com/exhibition/takao_12.html
スペースユイでは若い方のグループ展を催す事はめずらしいのですが、今回二度目となるARDYCE、ウチュウ犬、ババカナコによるグループ展はバランスの取れたパワフルなものでした。
ウチュウ犬の作品、布やビーズ等の素材や半立体的な表現にもオリジナリティーがありますが、 今回の小さな作品画面から伝わって来る神話的感性に繋がる物語世界観の創造は、ひじょうに完成度の高いものでした。
ババカナコ
ババカナコは今回のテーマである”風”を心象と風景の双方から表現、現代若者の心理を垣間見せ、共感を誘います。ストーリー性のある作品展開に、大きく伸びて行く将来性を感じました。
http://old.spaceyui.com/exhibition/ardyce_utyuuinu_babakanako.html
今年3月に個展を開催した小池アミイゴさんについてもいえる様に、茶畑和也さんもご自身の表現と生きていく上での熱意といったものがダイレクトに結びついたイラストレーターです。茶畑和也さんとは20年以上に及ぶお付き合いがありますが、人並みはずれた人々へ向かう愛情の密度が常軌を逸していることにひたすら驚かされ続けております。東京にいると珍しく感じる程の善意の発露は、いつもユーモアといっしょに提供され、決して人々を裏切らないのです。
そんな彼が、3.11と遭遇し、その年の3月28日から始めた事はハートのイラストレーションを福島原発の作業員の方々へ向けて送り続けることでした。ツイッターとフェイスブックを通して送られるハートのメッセージは約1年半一日も休まずに続けられており、展覧会初日には555枚目のハートとなりました。茶畑さんのツイッターのアカウントが@555chabataなのですが、この偶然もすごいナ、と感じています。今回の展覧会では555枚のハートの作品の中のほんの一部ですが、ハートを題材にしただけでこんなにもヴァラエティーに富んだ表現ができるの?と感心させられます。
また、自分を含めて日本の多くの人々が福島の特に子供たちのこと、原発の作業員の方々を常に心のどこかで心配しているのではないでしょうか。思っていても成すべき事がわからず、じれったい気持を抱えながら生活しているのだと思います。
そのような中、@555chabataは、ハートのイラストレーションを、ご夫人のひろみさんは毎日、言葉のメッセージを止まず送り続けておられます。自身には出来ない事をして下さっている茶畑さんご夫妻に対して、感謝の気持でいっぱいです。
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昨年の夏にFLOWER DROP EXHIBITION という花の香りがするような展覧会を企画しました。画廊にはYUI DROPSというささやかですがアロマのセクションがあります。良質なエッセンシャルオイルを扱っておりますし、まず香りを視覚と共に提示する考えが浮かびました。ステキな音楽を選び、美味しいお茶もサービスし、3.11以来、皆さんが何らかの形で苦しい思いをしていることを五感を通して少しでもやわらげたい、というシンプルな主旨で開催しましたが、結果としては大成功だった様に思います。
オカダミカ、石橋優美子、須川まきこさんのメンバーに、竹井千佳、澤奈緒、エヴァーソン朋子、網中いづる、岩間亜樹、野口あき子、水口理恵子さんといったゲストの方々に参加頂き、思い描いていた以上の展覧会を開催する事ができました。皆の作品のパワーが大きなエネルギーを生み出しました。
今回は、その中のお二人が連続して個展を開催致しました。テーマが決っているわけではありませんが、この連続の開催はとてもスムースな流れがあり、感覚的にひじょうに人々の気持を打った展覧会であったと思います。
最初に、オカダミカさんの個展、”SCENE”が開催されました。オカダさんのバランスの良い感性から表現される危うさを隠し味に持つきりっとした女性像には皆さんとても魅き込まれた様に感じられました。抑制の効いた淡く着彩された画面から放たれる様々な角度からの想像を喚起させるイメージに、人々を共感させてしまうパワーがある様に思います。静かなしかもエキセントリックなエネルギー・・・・。今後、目の離せない作家さんです。
そして、須川さんにも感じられる事ですが、とてもエロティックなのですが清潔な印象という、相反するふたつの要素が混合され、希有な魅力を醸成しているのかも知れません。
更に二人に共通する要因として、海外からの注目が多いということです。ギャラリーのメールには、様々な国からの問い合わせが絶えません。
須川まきこさんのロットリングで描かれる一本のラインも、優れた技術がなければ描けないものですし、彼女の確かな腕前から生み出される作品は、キュートなエロスがはじけそうな感性を伴います。今回は6月にローマのギャラリーで開催した作品展「melting」に出品したものでした。シンプルなスミの線で描かれるレースの模様やアールヌーボー様式を取り込ん表現力は、天性の力がなければ描けないものでしょう。コミカルな味わいも加わって、味わい深い作品です。
そして来年の夏にはまた、FLOWER DROP EXHIBITIONのpart2を考慮中です。
http://old.spaceyui.com/exhibition/micca_12.html
http://old.spaceyui.com/exhibition/sugawa_2012.html
http://old.spaceyui.com/gallery_note/2011/06
http://old.spaceyui.com/old/after/2011/1106/flower11.html
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田村愛さんの作品、今年は瑞々しいフルーツの様に美味しそうなフレッシュな印象の作品が多く見られました。 生活の中に爽やかさを運ぶファブリックとして、テーブルクロスやバッグ、着るものも制作しました。シルクスクリーン作品の大作は、ストロークも大きく力の技を必要とする作業でもあります。気持の良い風を感じる作品制作の裏側では、力こぶができる様な肉体労働が行われている様子やご苦労をご本人から伺い、いつも驚かされております!
http://old.spaceyui.com/exhibition/tamuraai_12.html
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パパもパパの作品も大好きな長女のセレンちゃんと一緒に。ミケランジェロがモチーフのTシャツを着て。
昨年3.11の出来事などで、イギリスに住むジョン・シェリーさんの展覧会は、一年延期され、今回の開催となりました。その間に、シェリーさんは福音館書店からの「ジャックと豆の木」や、USAより出版されるミケランジェロの”ダビデ像のできるまで”を描いた名作絵本を2冊もつくりあげました。丁寧なオーソドックスなこの様な絵本を子供の心で読んでみたいと思いました。 アーティストが大きく羽ばたいて行く時を見せていただいた様な気がいたします。たいへんな人気の展覧会でした。
http://old.spaceyui.com/exhibition/shelley_12.html
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