木村かほる個展「lost city」が好評を得て終了しました。
絵画において、抽象表現を以って、人々と心情に触れる部分の何ものかを分かち合う、ということは、たいへん厳しい道のりと思います。
今回の展覧会では、作者の意図した世界を、観る側の方々が好感を持ち大きな共感を感じて下さる、という作家にとっては目指す世界観への入り口へと辿り着いたのではないでしょうか。
作家は筆者の妹なので、近くで制作の現場を見て来ておりますが、不可能かも知れない世界の前髪に少し触れたかの感触を得て、喜んでおります。
自身の思惟を画材にのせてキャンバスに塗り込めていく作業を通してある感情の響きを呼び覚まし、また離れて行く、という技術を会得した様に感じました。
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東郷聖美さんの今回の展示は「映画」をテーマに、心に残る映画の一場面を毛糸で作った小さな人形で表現したものでしたが、背景や小道具も丁寧に作られていて、充実した見所満載の展覧会でした。
ボリビアに4年間滞在していた東郷聖美さんの作品は、ご覧になられた方々からもご指摘がありましたが、自然に南米やボリビアの文化圏の影響を受けておられるように感じられました。
ローマの休日、アラビアのロレンス、ウエストサイドストーリー、雨に唄えば、etc…、と一目で名画の場面とわかるのですが、モデルの人形からは独特なエスニック感覚が伝わり、映画の個性との融合が、とてもオリジナルな味わい深いものとなりました。
http://old.spaceyui.com/schedule/togo_13-2.html
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はんまけいこ
はんまけいこさんは、いつも人々の人気者です。はんまさんの陽性な性格とファンタジックな作品は、年令や性別や様々な垣根を飛び越えて、幅広く人々を結び、繋がり合っていくようです。
今回の個展でも、はんまさんの作品に合わせて人形を作成して下さった入谷桂子さん、舞踏を披露して下さった町田宗昭さん、毎年オリジナル額縁を作成して下さる長野美佐子さん、そして音響を整えて下さったEllie Yoshimuraさん等の応援で、展覧会がにぎわい、華やぎのあるものとなりました。
元々は東京生まれですが、すでに30年間、沖縄の小浜島という恵まれた環境で暮らすはんまさんの、大自然からのエネルギーを身体中に受け止め咀嚼した感覚を反映された作品の数々は、真っすぐに温かく心に届きます。
おおらかな個性的なはんまさんの創りだすキャラクターたちが、次回はどんな風に私たちの前に現れ、チャーミングな表情を見せて下さるのか、今から楽しみにしているのです!
はんまけいこ
入谷桂子
町田宗昭
http://old.spaceyui.com/schedule/hanma_13.html はんまけいこ個展hp
https://www.facebook.com/photo.php?v=315852745215230&set=vb.207663006004490&type=2&theater
町田宗昭さん 舞踏
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安西水丸+和田誠「AD-LIB 6」は、すでに11回目を迎えるコラボレーション展でした。
今年は、特にパワフルな鮮やかな作品の感覚に皆が驚かされました。毎年オープニングの日の夕方には、お二人のコントの様に楽しい巧みな話術のトークショーが、ファンの方々の楽しみとなっておりますが、実は搬入の日の夕方にもうひとつのトークショーがあります。こちらの方の観客は画廊スタッフだけという贅沢さです!トークショーというのはおおげさで、お二人が搬入を終えた後、ビールを飲みながら楽しそうにお話しをされているだけなのですが、私たちスタッフは奥で作業しながら時々聞こえるお二人の会話を楽しませて頂いております。その才能と色褪せぬ活躍から大きな名声を得ておられる今でも、時々小さな男の子の兄弟の様にやんちゃな所や純粋な優しさが、垣間聞こえて来る時、僭越ですがこの様な展覧会を開催する事に幸福な感慨をおぼえます。
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画廊のスタッフでもあるNomii Rabbitは、台湾出身のイラストレーターです。彼女の作品は、グラフィックデザインのセンスをベースにした可愛らしく見る者の心をいやすキャラクターでありながら、何かをフッと考えさせる感覚があります。さり気なく見せているので見過ごしてしまいそうですが、主人公のお菓子が好きな身体の柔らかいヨガウサギ、実は読書好きで哲学的な部分もありそうです。初めての個展でしたが驚く程の方々に評価を頂き、大成功だったと思います。
台湾では日本の様に英文の中で漢字をローマ字表記にする事がないので、最初の英語の授業の時に自らのアルファベットネームを決めるそうです。また台湾独特の習慣で女の子にパンダの名前の様に漢字を二つ重ねた親戚内での命名もあります。因みにNomiiさんは綿々と呼ばれています。難しい漢字の本名をはじめ色々な名前を持つNomii Rabbitさんですが、彼女のつくりあげた同じ名前のキャラクターと共に、大きく羽ばたいて欲しいです。
http://old.spaceyui.com/schedule/nomiirabbit_13.html
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佐野洋子個展、やはり大好評のうちに終了する事が出来ました。お出かけ下さいました皆様、ありがとうございました。もう佐野さんにお会いできないのだ、と思いますと今更ながらに残念で悲しみも新たに湧いてまいります。会期中、佐野さんの著書で未読だったものを毎日読みふけってしまいました。
本を読む事でもう一度佐野洋子さんとお会いできた気がして、とても懐かしかったです。それにしても多才な方です。エンターテイメント性、サービス精神いっぱいの本、ドキュメントも小説も こんなに文章で人を離さない作家ってあまりいない。しかも神話の様な叙事詩的な本も書かれました。
佐野さんの最新インタビュー集「ほんとのこと言えば?」の中でおすぎさんがたけしの勲章の事に触れて、あれはフランス政府から電話がかかって来て実費を払ってもらうものよ、というヒトコマのステキな勲章と思っていたのに残念なお話など、抱腹絶倒なエピソードがどの本にも詰まってます。
のびやかな筆致で表現される銅版画も、子供心を掴む絵本も、人の心を鷲掴みにする文章も、神様から沢山の才能を与えられた佐野洋子さんの個展を開催できて、本当に嬉しく、光栄な事と思いました。そしてあらためて、洋子さんのご冥福を心からおいのり申し上げます。
http://old.spaceyui.com/schedule/sanoyoko_13.html
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民野宏之さんの作品からは、いつもながら清新な空気を吹き込まれます。今年は特に風景のみの作品で、人の手のかかったものは何もないという潔さでした。
民野さんの作品は、どの様な題材でも底に流れる清々しい感性は一貫しておりますが、毎年札幌から届けられる新しい作風に驚かされます。
今年は、発表された作品の中の森の樹々や林を抜ける静謐な通り道、また時代の空気感を反映したかに感じる空の色などから、安らぎの感覚と共にひそかな不安感にも包まれます。
こういったカタルシスの感覚が、この時代感覚の中にひそむ痛みを伴った心地よさといったようなものを誘うのでしょうか。これらを掬いとり定着させた作品を街中や書籍などの中で再び発見したいものです。
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岸田ますみ「さまよう風景」は、人々に印象深く作品の余韻を残して終了いたしました。
岸田さんは作品について多くを語る方ではありませんが、作品の画面から様々な言葉や音やまた、名前の付けられない感慨が、饒舌に流れて来る様に感じられました。
抑えた深い色調に描かれたシンプルな謎めいた海や山々、草原の風景は、わたしたちがいっしょに共有している感情を呼び起こされる様に感じ、刺激を与えられました。
そしてこのような感覚をもたらす作品の力を、様々な方が感じ取られた事を現場で感じ、嬉しく光栄な事と思いました。
http://old.spaceyui.com/schedule/masumi_13.html
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今年3年目となる、「早春の透明」展は、明るく楽しい印象を残して終了致しました。ガラス作家のキッタヨーコさんを中心にした展覧会は、沢野弓子さんと田村愛さんの参加を頂いて開催されますが毎年三人の作品がきれいなハーモニーを奏で、ギャラリーを明るい空気で充たします。打ち合わせをしたわけではないのに、毎年互いの持ち味が響きあうバランスのとれた展示になり、驚かされます。
今年のキッタヨーコさんは、柔らかくヴォリューム感のあるキッタさん独特の個性豊かな作品を造り上げました。マジョルカのガラスヴァージョンといった感があり、どこにも見た事のないオリジナリティーに富んだ作品でした。
http://old.spaceyui.com/schedule/toumei_13.html
安曇野の工房でガラス作品の制作に励む宮本崇輝さん、鳥取の陶芸作家すえむねともひこさん、と、このギャラリーではめずらしいガラス作品と陶芸作品の展覧会が開催されました。
宮本崇輝さんは今回が最初の個展でしたが、作品の完成度も高くとても好評な展覧会でした。
宮本さんは、多摩美のガラス工芸を学んだ卒業生で運営する豊かな自然に囲まれた安曇野のガラス工房で作品の制作に励んでおられます。
宮本さんの作品は、現代に暮らす人々の日常の中に取り入れると、温かな心弾むものを与えてくれる感慨をもたらす力がありました。
プロダクト的なシンプル感覚が基底にありながら、冷たさは少しもなく、手づくり感覚の温もりも加わって、独特の魅力を醸成させている様に思います。
改めて宮本さんの作品を目の前にして彼が相当ストイックに造型を研究し、また時代の生活スタイルを鋭敏にキャッチしながら日々制作に生きている事を感じました。
27才の宮本さんの秀逸なトータルな感覚がどのように羽ばたいて行くか、とても楽しみです。
http://old.spaceyui.com/schedule/miyamoto_13.html
今は鳥取に住み、陶芸の工房を持ち、活躍中のすえむねともひこさんもユニークな素敵な個性の方です。沖縄県立大学で陶芸の勉強をなさったすえむねさんの作品は、どこか海を思わせる色彩やおおらかさが感じられます。
作品は、日常使いの食器から、幾何学モチーフを原点とする半立体レリーフ、そしてそれらの中間に位置する実用性と共に作家性のある作品等、カテゴリーが分かれていますが、全部の作品が、矛盾することなく、ひとつの空間にバランスよく提示されている事が、彼の力量を示している様に感じられました。
すえむねさんは、エッセイや小説も書かれ、また色々な生物についての知識や工学全般等、スタッフ皆なも驚く程、博学多識な生き生きとした方です。彼のビビッドな発想や創造の源流が少年の時代へと回帰し、作品へと結実している事を感じます。
http://old.spaceyui.com/schedule/suemune-13.html
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