谷口広樹氏の追悼展を振り返りまして、失った存在の大きさに改めて残念な思いにかられております。
お出かけ頂きました皆様と谷口氏との間に、交流の中で育まれた温かな思いが感じ取れました。そしてお客様のお話から自然と滲み出る谷口広樹氏の全ての人々に対しての思いやりの深さにも感じ入りました。
意義のある仕事を多く残され、また教える立場としても重要な役割を果たされて来られた谷口氏の存在感は、生徒さん達にとって悲しいけれど大きく大切なものとして心に留まり続ける事と思っております。
貴重な膨大な分量の足跡を残された谷口広樹氏の急逝に際し、当ギャラリーでの展示ではとても全容をご紹介できるものではありませんが、ご生前親交の深かったアーティストの方々のご協力を得てささやかではありますが思いのこもった追悼展を無事に開催することができたと存じております。
谷口氏の追悼展に関しましては当画廊だけでなく、引き続き以下のギャラリーにて開催の予定がございますので、ぜひお出かけ下さいませ。
3/28〜4/9 コバヤシ画廊
5/4〜5/8 代官山ヒルサイドテラスエキシビションルーム
尚、2018年1月の北見隆さんとの二人展の際に作った小さなシルクスクリーンのおみくじの売り上げ金をご生前に素晴らしい仏画を描かれた神谷町の光明寺に奉納させて頂きます。
また、今回の追悼展では、出品者の方々の文章を作品と共に展示させて頂きましたので、以下にご紹介させて頂きます。
↓
・伊藤桂司
岡倉天心記念館の前を少し過ぎた辺りで、谷口くんとバッタリ会った。谷中のギャラリーで開催されていた津々井良くんの個展最終日に向かう途中でのことだ。谷口くんは観終わった後だったが、半ば強引に「もう一回観ない?」と会場に連れ戻す。フォークロアとヨーロッパの日常風景が入り混じったような魅力的な作品を二人で楽しんだ。津々井くんも交えて3人で話すなんて、一体何年ぶりのことだったろう。観覧後は、近くのカフェで他愛もない冗談を交わし、ともに参加することになっている北海道のプロジェクトのことや音楽の話をした。カフェを出て日暮里の駅まで歩く。乗る電車は反対方向。ホームではいつものように手を振って別れた。2021年7月12日月曜日の夕方。それが谷口くんと会った最後だった。
・越智香住
小さい出会い 谷口広樹さんとの初めての出会いは3年前 (2019年) のスペースユイでの新年企画『一陽来福』展に出品依頼を受け、北見隆さん、谷口広樹さんお二人とご一緒させていただいた時です。顔合わせの日、谷口さんはお仕事が忙しく挨拶だけの刹那的なものでした。二度目は昨年の4月のスペースユイでの私の個展にご来廊いただき、親しくお話ししていただいて、拙作「あわせて」が気になる作品と言っていただいたのが耳に残っています。この追悼展は谷口広樹さんと私の三度目の出会いなのだと思います。心からご冥福をお祈り致します。
・北見隆
谷口さんは純度の高い大きな抽象画も描けば、デジタルによる気が遠くなるほど細かい、商業イラストも手掛けられていた。その上後進の指導にも手腕を発揮されており、その振り幅の大きさから「谷口さんが何処を目指しているのか僕には解らない」と、ご本人に申し上げたことがあるのだが、氏は笑っていた。谷口さんの作品タイトルはいつも凝っている。それは人生訓のようであったり、心情吐露のようであったりもする。谷口さんが亡くなった時に開催中の個展の中に「山はたくさんあるけれど頂上はたったひとつだけ」といったタイトルの作品があった。私はこのタイトルを見たとき、谷口さんが目指す方向性の謎が解けた気がした。谷口さんはその溢れる創作エネルギーに突き動かされ、眼前に高い山が現れると踏破せずにはいられなかったのではないだろうか。今回の突然の出来事はある意味、登山家の遭難事故だったのかもしれない。そう考えれば大いなる才能の喪失に、私も諦めが付く気がする。
・黒田愛里
昨年の夏に私は個展がありました。その会期中に谷口先生がなんと2回も来てくださり、忙しい先生に2回も個展を見てもらえた事がとても嬉しかったのを覚えています。(先生も同ギャラリーで個展を控えていたので打ち合わせもあったのですが)個展の度に何と言われるか毎回ドキドキで、先生に感想を伺うと今までにないくらい褒めてくださって、それが本当に嬉しくてまた頑張ろうと思えました。その日、私が先生と会えた最後でした。「自分を大切に、裏切らず精進すること」悩んでいたとき先生に言われた言葉です。先生には何度も何度も背中を押してもらった気がします。谷口先生の本「homosapiensaru’s wisdom」からも大切な教えを沢山いただきました。1つ1つの言葉が優しく、ときに愛をもって厳しく、先生の声で語りかけてくるこの本が私は大好きです。今回の作品はこの本の中の言葉からイメージを膨らませて描かせていただきました。一番大きな作品「わけへだて の ない あい を もって」というタイトルも、zine「homosapiensaru’s wisdom」の中の言葉からです。
・津々井良
「さるとき」
たかいいしで にちじょうを ぐちょくに ちせいの ひかりで
ろかし きおくにかえた
「夜のほとり」
谷口が最後に褒めてくれた作品
名前を呼び捨てで言える学生時代に出会った
初めて絵を見た時、凄い奴がいると実感した
二人でシルクの作品を作った
個展のDMから本のデザインから
頼めば忙しいのにホイホイとやってくれた
そしていつもエナジーをくれてた
あ り が と う
「月下に眠る」
あぁ、90まで100まで 生きて描くからと 低い声で断言してたのに
8月の月下の眠り しばしの別れ 芒格札の庭で 又逢おう
・フジイカクホ
「マルフーとヒラフー」
学生時代、私はコンペで結果を残すことに固執して作品の方向性を失っていた時期がありました。そんな時に声をかけてくださった谷口先生の言葉がとても心に残っています。「今のお前の作品ではチョイスもひとつぼ展(1wall)もTISも通らない。しかし、賞を取った先にお前の求めているものがあるのか?お前はお前と作品を必要としてくれる場所に行け。コンペは自分にあったものがある。」この言葉をいただいてからは必要としてくれるところで作品を制作していけるように進み始めました。無理にコンペに出すことはやめ、仕事に繋げるべく売り込みを続けました。少しずつ仕事も増えてきた頃、イラストノート誌上のコンペ「ノート展 キャラクター部門」の募集が目に止まり、コンペの実績もそろそろほしいと思っていたので応募してみたところ準大賞を受賞。先生の言う通りになりました。「マルフーとヒラフー」はその時初めて賞をいただいた思い出深い作品です。
「粘土ミニチュア5mmシリーズ」
学生時代には自分の表現への追求で自分らしさを見失っていた時期もありました。当時の私は個性を履き違えており、表面上のことばかりを考えていたのです。ある時、私はクジラをモチーフにした作品を制作しましたが、様々な要素を盛り込んだクジラは面影がほとんどなくなってしまっていました。それを見た谷口先生から、「クジラといえば尾びれと潮吹きだろう。そこはきちんと表現しなければならない。」と、ご指導いただき、イラストレーションとして表現する際に欠かせないものがあることに気づかされました。近年は「粘土ミニチュア5mmシリーズ」として、約5mmサイズで動物をはじめ様々なものを制作しています。大きさの制約があるので要素の取捨選択をしながら進めるわけですが、デフォルメを追求する際には今もこの時のことが頭に浮かびます。まだまだ失敗することもありますが、先生の教えを胸に精進してまいりたいと思います。
・藤本巧
かわいい物が大好きな谷口先生は、よく僕が描くキャラクターに興味を示してくれました。マカロニ星人を描いた時には「これはゴーヤ?」「マカロニです。」とか、ひよこのポーチを描いた時には「これかわいい!口からティッシュとか出るの?」「口は開かないです。頭の上が開きます。」なんて会話が楽しくて、先生に絵を観てもらうことが好きでした。何度も相談して構図や色を決めたり、完成した絵を講評してもらい、また次の絵を描くということをひたすら繰り返していました。今思い返すとこの上なく贅沢な時間でした。僕が顔彩を使い始めたのも、画材に迷っている時に先生が目の前で顔彩を使って描いているのを見たことがきっかけでした。僕の絵には先生の教えが存分に詰まっています。この器の絵は先生のことを考えながら描きました。先生が観たらなんて言ってくれるでしょうか。あの時のように「巧は巧みだね~。」って笑いながら褒めてくれるでしょうか。
http://old.spaceyui.com/schedule/taniguchi_hiroki2022.html
今回、ある意味やっと舟橋全二氏のシルクスクリーン作品の展示が実現できたな〜、という感慨があります。
以前から、ギャラリーでは様々なテーマでの舟橋氏の作品展を開催して参りました。
舟橋氏と言えば、フジタ工業のポスターやアーバンデザインの一環としてのモニュメント作品等の評価が定着しておりますが、ギャラリーの個展では何度も金属の板を成形して形作る小さなモニュメントのようなオブジェ作品の展示が続きました。
金属の作品では、氏の切り絵の平面作品のような文字通りエッジの効いた作品のアウトラインと鮮やかなポップな色彩が特徴です。
小さなオブジェたちは、色彩が目を洗うようにフレッシュな印象を心に残すパワーがありましたが、やはり舟橋氏の本懐であるような気がする平面作品の展示をいつか開催したいという希望が本年に実現したのでした。
・・・・と、ここまで述べて来て、舟橋氏が金属のオブジェにこだわられてきたのか急に気がついてしまいました。まるでシルクスクリーン作品の中から抜け出たようなオブジェたちは飾るだけでなく、掌の中で愛でる事もフックに掛けて遊ぶ事もできてしまう!そして何よりも光を放つように色彩のエネルギーを放ちます。
オブジェもシルクスクリーンの平面作品も観る身にクリーンな目の覚めるような気持ち良さを与えて下さるのは同じなのかも知れません。
舟橋全二氏の作品は、2015年3月にエルミタージュ美術館の”POST PAST EXHIBITION”という250周年の記念展示に出品オファーがあり、そのまま美術館の永久保存となった作品が8点ほどあります。同時期に、横尾忠則氏等のポスターも展示されました。
今回の展示でも、フジタ工業、MESSE FRANKFURTのポスター等、エルミタージュに保存されている作品も展示させて頂きました。
舟橋氏のポスターやシルクスクリーン版画に託された心豊かな表現は、誰にも真似のできない作品として普遍的価値のあるものと思っております。
舟橋氏には、イラストレーションを教える教師という側面もあります。自由な魂を以って表現の大切さを伝えられた生徒さんたちは皆それぞれの個性をおおらかに広げて活躍されており、舟橋先生の素晴らしさを体現されています。
http://old.spaceyui.com/schedule/zenji_funabashi2022.html
変わらぬ人気で多くの人々を魅きつけた平野恵理子さんの、素晴らしい企画であり、そして何より筆のラインの自由さ加減、練達ぶりを味合わせて頂いた展覧会でした。
平野さんが生まれた時に作られた映画から現在に至る毎年々の映画をピックアップして、彼女の年齢分の作品が出来上がりました!
その映画をご覧になった方々も共通の思いを語り合ったり、また見たのだけれどその場面が記憶に残っていなかったりと、楽しい会話が交わされました。
平野さんは、イラストレーションはもちろんですが、文章もものすごく素晴らしいのです。
現在八ヶ岳の麓で暮らしている平野さんが、折々の植物や生きものの事を表現していらっしゃる本の中に印象的な箇所がありました。人が見逃してしまうような小さな虫のお話の一節なのですが、とても魅きつけられる文章であり、森羅万象に愛情を注がれる平野さんの姿勢が素敵だな!と感じました。
平野さんは美しく装幀された絵も文も素敵な多くの書籍を出されており、テーマは植物だったり、日々のエッセイであったりお料理だったりと多岐に渡りますが、そのどの分野でもきちんと研究がなされていて、その実にステキな博学ぶりは賞賛に値します!
そんな平野恵理子さんの久しぶりの個展、コロナ禍の影響で半年以上も延期になりましたが、人々は待ち構えていたかの様に平野さんの元へと訪れたのでした。
↓
〈映画・60年間61本勝負〉をご覧いただきまして、どうもありがとうございました。
61本の映画をモチーフにした作品のなかで、みなさんの反応がいちばん多くあった映画は「ギルバート・グレイプ」でした。
これは納得。
その次は「ショーシャンクの空に」。
もちろんこれも納得です。
意外にも、「サボテンブラザーズ」をお好きな方も多くいらして、これはうれしい驚きでした。
執念(?)で描いた「スクール・オブ・ロック」の「ロックの歴史講座」の板書を見ながらお客様とロック話をできたのもまた、大いなる喜びでした。
とくべつ映画にくわしいわけでもないのですが、やはり映画が好きな者として、お客様と一緒に映画の話をできたことはたいへん有意義でした。いい映画もバカな映画も、観た者同士は、人生の一時期を共にした仲間のように感じられるから不思議です。
ご覧いただきました皆さまに、改めましてお礼申し上げます。
どうもありがとうございました。
皆様もどうぞよいお年をお迎えくださいませ。
お正月はまた、おうちで映画三昧じゃな。
平野恵理子
http://old.spaceyui.com/schedule/hirano_eriko2021.html
「安座上真紀子 色彩採集」、訪れる方々を楽しい思いにいっぱいにするファンタスティックな展覧会が大好評のうちに終了いたしました。
色彩採集というタイトルのとおり、鮮やかなひとつひとつの色彩のカンバスをパレットにして、過去の作品を含む細やかに表現した作品たちをコラージュした作品でした。
安座上さんの手からは、この地上の親密感溢れるものたち全てが紙素材で造られて次々と生み出され続けてくるようです!
各々のパレットの上で小さなオブジェたちがぎゅっとコラージュされた正方形の作品画面からは
安座上さんの前向きな大きなエネルギーが伝わって参ります。丁寧に造形され造られたものたちには、大人たちの幼心をくすぐり、そして元気付ける力を感じました。
どこへ向かうのか見えない閉塞感漂う社会に生きる人々の心をぽっと照らすことができる作品&作家はとても大切な存在と思います。
具象的な作品ですから、日々私たちが目にする様々な3次元に存在する美しさや可愛らしさや清潔感などのポジティブな感覚を呼ぶ「もの」を選択する力、グラフィックセンス、それらを総合して新たな空間を目指す志、と安座上さんの持ち味を存分に生かされ展開された作品世界だったと感じております。
http://old.spaceyui.com/exhibition/azakami_makiko2021.html
谷口シロウさんの前世は、中世ギリシャの盲目の画家だったそうです!盲目の画家というところの解釈は難解ですが、何故か腑に落ちる見解です!
それなのに、今生ではこの日本システム(=地球システム?)の歪みある世界に生きておられるのは、何かの使命があってのことなのでしょう。
谷口さんは作品を制作するだけでなく、ひげ女装のパフォーマンス活動も含めクリエイティブ活動を継続されているアーティストとして知られており、周囲の方々を巻き込みながら心を降り注ぎ続けられています。
髭のまま髪もコスチュームも美しく装って、都会の道行く人々とさり気なくウィットに富んだ交流をされたり、時々不思議なワークショップにも顔を出されます。
谷口シロウさんの今回の個展のテーマは「カオス」ということでしたが、どんなタイプの描き方をしていても、ご本人とわかるニュアンスが通底していてそんな楽しいカオス感からは色彩や作品の素材から受ける生き生きとした躍動感が伝わって参りました。絵のビタミンパワーです!
神話に見る神々に似せた登場人物のように、また中世のヨーロッパを彷徨い即興の詩を民に朗誦した吟遊詩人のように・・・。そんな世界観を彷彿とさせるものがシロウさんの作品にもご本人にもあって、期待が止まないのです。
この、あるがままの世界を受け止めながら、それでも尚、軽やかにご自分も周囲の人々も元気づけ、本来の創作活動を続けながら日々を生きるという事は、並大抵のことではないと思います。ずっと々がんばって頂きたい方です!
http://old.spaceyui.com/exhibition/shirou_taniguchi2021.html
「荻原美里 From now on」、個展の初日には、オープン前からお客様が訪れて、整理券を出すほどの人気の展覧会でした。
抒情性にいろどられ、日常を超えたハイセンスな感性に貫かれ描かれた作品は、本当に驚く程皆様に共感を持って受け止められました。
昨今の疫病の状況などから、社会は安定を失い、人々の心情は決して明るい方向を向いてはいない中、アート作品が力を持って人々の心を誘う力を持つということが示されたように思います。
荻原さんの作品画面全体から流れる憂愁の気配、透明感が漂う景色から、かすかに遠方から差す希望の光を感じることが、見る人たちの心に深くしみこんで行くように思われました。
水彩の滲みの優しい感覚、また他方で光と影の強い対象表現の確かな描写力、と個々の作品に表されるマチエールも魅力的でした。
荻原さんからは個展終了後すぐにメッセージが寄せられましたので、ご紹介させて頂きますね。
↓
2021年12月4日 個展を終えて
「From now on」このひとつの言葉から私の制作は始まりました。
私の脳裏に1本の道が見えてきたんです。でこぼことした、ぬかるんで歩きにくそうだけど真っ直ぐと延びた道。子供の頃の思い出からかもしれません。道草しながらよくこんな道を歩いていましたから。
この1本の道を今回の個展で皆さまと一緒に歩きたいと思いました。
そして出来上がった作品「From now on」。左手には鬱蒼と生い茂った草叢と右手には人の手によって刈り取られた広い大地。自然現象のように時には自分の意志ではどうにもならないこともある中で、いろいろな人と出会い関わりながら前を向いて、多くの選択をしながら一歩一歩、私たちは進まなければなりません。時にはぬかるんだ土に足を取られることもあるでしょう。深い森に入り、光彩陸離たる美しさに出会うこともあるでしょう。様々な気づきや発見をしながらいつかはきっと広い海と空を見ることができると思います。
足を運んでいただいた皆さまが、森を抜け、海を見て立ち止まりこれからの自分と向き合って、前向きな気分で広い大きな海を眺め、そしていつもの日常へ戻っていただけたらとそんな思いで空間構成も含め作品を制作いたしました。
最後に、お忙しいところ、足を運んで下さった皆さま、会場を提供して下さったSPACE YUIの皆さま、ありがとうございました。素晴らしい出会いと皆さまにお寄せいただいた声を励みに、これからもまた、強くそれでいてしなやかに自分のスタンスを持ち作品を制作していきたいと思っております。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
簡単ではございますが、書中にてお礼申し上げます。
Live as if you were to die tomorrow.
Learn as if you were to live forever.
明日死ぬかのように生きよ。
永遠に生きるかのように学べ。
Mohandas Karamchand Gandhi
荻原美里
http://old.spaceyui.com/schedule/misato_ogihara2021.html
そで山かほ子さんの個展案内状を最初に拝見した時に、超ポジティブシンキングだな、という驚きと共に、作品全般に込められるそで山さんの大きな志のようなものが感じられました。
このパワフルな握りこぶしのモチーフは、アメリカのアンティークモールで買った60年代の公民権運動のオブジェだそうです。
このオブジェが元となり、そで山さんの素晴らしい平面作品として、またその作品が秀逸にデザインされ、魅力的なカレンダーとして誕生いたしました!
そで山さんは、電動ノコギリで木をカットしてペインティングをするという手法を用いて可愛らしく心を緩めて下さる作品を制作しております。
木質の画面に絵の具をたっぷり使って手から筆、木製キャンバスへと、そで山さんのパワーと思いの丈を注ぎ込み、ペインティングしているのだ!と感じております。
作品をご覧になられた皆さんは、しっかりと、そで山さんの熱いメッセージを受け止めておられました!作家と鑑賞者との素敵な関係を見せて頂きました。
そんな大人気のそで山かほ子さんから、コメントを頂きましたので下記にご紹介させて頂きます。
↓
落ち込んだりかなしかったり何もしたくなかったり…そんな時でも時間は止まってくれなくて
自分で自分を奮い立たせて乗り越えていかなきゃいけない時が人生には何回も何回もあると思います。
そんな時にそっと寄り添ってくれるものたちがあります。
見ているだけで元気になるもの、思い出して微笑む景色、励まされる偉人の言葉、包み込む優しい香り、心躍る音楽、家族や友人と囲むおいしいごはん…。
そんなものたちがみなさんにも何かあると思います。
今回の展示ではわたしに力をくれるものたちを描きました。
来てくださった方が笑顔で元気になるように願いを込めた展示でしたが、
笑顔で「元気もらった!」と言うみなさんにわたし自身がパワーを沢山いただいたのだと思います。
いろんな不安なことが次々と起こる世の中ですが、ひとつでも多くの好きなものが見つかって、
みなさんのパワーになりますように。
来てくれた皆さま、連絡くれた友人たち、気にかけてくれた皆さま、忙しい時期にほんとうにありがとうございました。
ギャラリーの木村さん、ともえちゃん、愛里ちゃん、藤本くん、ほんとうにありがとうございました。
楽しい6日間を送れたのはあたたかいサポートがあったおかげです。
皆さまへ感謝とパワーをこめて。
そで山かほ子
http://old.spaceyui.com/schedule/sodeyama_2021.html
思わず頬を緩めずにはいられない金沢和寛さんの作品展、今年は秋の「黄葉」がテーマでした。道に舞う銀杏や広葉樹の黄色い葉っぱが、一瞬、金沢さんの作品とリンクしてしまう印象深い作品が展示されました。
一昨年の展示では、「桜」がテーマでその時の丹生込められた桜の樹の小さな花びらが集大成された記憶が今回の秋の「黄葉」と重なって、金沢さんの思いが伝わりました。
小動物や子供たち、老人への優しさと、自然界の営みへの心情が繊細な作品を通じて心に沁み通る様でした。
そのような作品制作には、たいへんな集中力と細かい作業への多大な時間が必要とされますので、ギリギリまで作品に向き合われていた金沢さんに搬入時ちょっとしたアクシデントがありました。
痛めた足は、すぐに良くなって行き、ほっと皆安心致しましたが、その辺りの事も含めて金沢さんに書いて頂きました!
追記:
近々の救急病院を名乗る病院なのに、担当医が科が違うのでとか、外科病院なのに外科の医師がいないのでとか何件も断られまくり、やっと受け入れ病院が見つかった時には、本当にほっとしました!
ちなみに、会期中に杖をついた小さなクマさん(金沢さんにそっくりな)が出現しましたが、あっという間に売れてしまいました!
↓
スペースユイでは2年半ぶりの個展になります。
ご多忙の中、足を運んでくださった皆さま、どうもありがとうございました。
今回は、今までに制作した秋のシーンの作品を中心に展示しました。銀杏の葉の黄色で明るい雰囲気の空間になったと思います。新作の介護シーンの作品やベビーカーの親子の作品は、今までとは違う1歩を踏み出せた感じがしています。
また、久しぶりの個展でしたが、見に来ていただいた方々に直に感想をいただけるのはとても幸せな事だと、あらためて思いました。
ユイの木村さん、スタッフの皆さま、いつもどうもありがとうございます。
20数年前、最初は客としてイラストの展示を良く見に来ていましたが、気付けば今では展示する側に回りました。またこのスペースユイで作品を展示できる日を楽しみにしながら、これからも作っていきたいと思います。
追記:
土曜日の搬入作業中にふくらはぎの肉離れを起こしてしまい、木村さんに救急で診てもらえる病院を電話して探してもらって、搬出作業中の北沢夕芸さんとお仲間の方々に手助けしてもらい、赤帽さんが僕を病院まで運んでくれました。病院に行っている間に、木村さんとスタッフの高橋さんが壁面の写真パネルの展示をしてくれました。そして月曜日の早朝に残りの立体作品の展示をして、なんとか初日に間に合いました。今回の個展、皆さんの親切なご協力で無事に開催できました。重ね重ねありがとうございました。
金沢和寛
http://old.spaceyui.com/schedule/kanazawa_2021.html
北沢夕芸さんの個展「少女時代 X -Genaration Girls X-」では、とてもシンプルに軽やかになった少女たちがこれ迄の北沢さんのシュールな感覚はそのままに表現され、以前から北沢さんの作品に触れている方々を驚かせ、そして楽しませて下さいました。
今回の個展では、これ迄の立体作品が平面作品となって表現されたような感覚があって、北沢さんの心境の変化や進化のプロセスに参加させて頂いている様な楽しみ方ができたと思います。
また水沢そらさんの作品展の時にも、男性の中の女性性についてという興味深い話題が出ましたが、北沢さんの個展では更に掘り下げられたファンキーなお話を聞かせて頂きました。その辺の部分は北沢さんご自身のコメントでご紹介させて頂こうと思います。
↓
「ありえない話だけど、僕の少女時代を思い出させてくれるような展示でした。」
これが昨年のスペースユイでの個展「白日夢探偵」を見に来てくれた、デザイナー真舘嘉浩さんの感想でした。
少年時代というよりも少女時代の方がニュアンスが近い、そんな子供時代を過ごしたのかもしれない。
それは僕もそうだったのかも、少なくとも部分的にはそうだった。
僕たちが過ごしたかもしれない少女時代、だから「少女時代X」
ヒントをくれた真館さんは去ってしまったけれど、その煌めきはまだ僕の胸に燃えている。R I P
北沢夕芸
http://old.spaceyui.com/schedule/kitazawa_2021.html
変わらぬ人気の作家さん、水沢そらさんの充実の個展が開催されました。今回の個展につきまして、水沢さんからコメントをいただきました。
少女たちの肖像等を通して水沢さんが表現される世界観が、より完成度高く伝わって来る理由がご本人からの解説を得てとても良く理解できました。
水沢さんは、オーソドックスに「描く、それも普通に」をテーマに〜
とおっしゃっておられますが、そういった姿勢が普遍性を得て、よりパワーのある作品へと繋がり、更なる芳醇な世界へと向かわれている様に感じております。
↓
SPACE YUIで3度目の個展が終了しました。
お越し頂いた皆さま、少しでも気にかけてくれた皆さま、YUIスタッフの皆さま、いつも本当にありがとうございます。
今回の個展『TODAY』はそのタイトル通り、「今日の自分≒今の自分」の作品をどう提示するか、ということに強くこだわって作品を制作しました。
ご存知の方も多いかもしれませんが、3年前より以前の技法をいったんストップし、よりオーソドックスに「描く、それも普通に」をテーマに制作に取り組んできたのですが、今回の作品群をYUIに並べたときに、ようやく一定の着地を得ることができたというか、ある種の達成感を感じました。
実際、今回一点だけ以前のスタイルに近しい作品を展示したのですが、他の作品とも違和感なく展示することができ、そういった意味では何周か回って回帰したのかも知れません。切って貼っての技法も今後はまた並行してやって行けたら良いな、と思っています。結局のところ、自分は自分だったという事ですね。当たり前なんですが(笑)
最後になりますが、この文を読んでくださっている皆さまにまたいつか作品をご高覧頂けたら、それはとっても嬉しい事です。その日が来ることを今より楽しみにしています。どうもありがとうございました。
水沢そら
http://old.spaceyui.com/schedule/mizusawasora_2021.html
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